〈晩秋〉-18
『お、おぉ〜……気持ち…イイ……』
「嫌あぁッ!!嫌あぁぁぁッ!!!」
瞼を捲られて壊れた顔で、友紀はヒステリックな叫び声をあげていた。
目尻を下げて鼻を膨らませた男が、恍惚の表情を浮かべて友紀を見下ろし、一心不乱に腰を打ち付けてくる。
悪夢としか呼べない光景……少し開けた唇は友紀との接吻で涎に塗れ、生臭い口臭を友紀に吹き付けていた。
その視線は友紀の哀しい視線と絡み付き、両の手は友紀の豊満な胸を揉みしだいていた。
無造作に掴まれ、指の間からは胸肉がこぼれそうになるが、それも構わず思うがままに揉みほぐし、数時間前までの友紀のように凛とした乳首を摘んでは、指先で捏ねて硬度を楽しんでいた。
「やめ…てぇッ!!お願いやめてぇ!!」
大の字で寝転んだまま、友紀は自分の意思を何度も伝えた。
血の涙を流し、心底からの叫びをあげて訴え続けている。
それでも男は止めようとはしない。
友紀は股間を開いて身体を解放しているし、股間の唇は涎を垂らして肉棒にむしゃぶりつき、その唇の中にある何枚もの〈舌〉が、ネットリと男の肉棒に絡み付いて締め上げていたのだ。
涙など嘘。
悲鳴も嘘。
どんな状況になろうとも、“行為”に及べば牝の本性を露わにして、男根を貪るふしだらな牝と思われたくないが為の擬装に過ぎない。
男達は勝手に友紀の《悦び》を理解し、興奮を更に高めていた。
止まぬ悲鳴、発狂するかのような絶叫を聞いても、罪悪感は感じてなかった。
『き、気持ちイイんだろ、先生?顔にそう書いてあるよ……』
「嫌あぁッ!!嫌だあぁぁぁッ!!!」
男の亀頭が友紀の肉襞に擦れる度に、認めたくない感覚が脳髄を刺激する……愛しい彼氏との情交、その最中に感じる疼きが、ピリピリと友紀の感情を撫でていた。
牝汁は止まらず溢れ、男の下腹部が衝突する度に飛沫となって散る。
淫靡な牝、その本性が剥き出しにされてしまっていた……。
『あ………イキそう……イッてイイよね……?』
「!!!!」
交わり続けたなら、いずれは迎える結末……欲しくもない遺伝子の受け渡しが行われようとしていた……。
「やめてぇッ!!そ、それだけはやめてぇ!!お願いだからぁ!!!」
涙に潤み、赤く腫れた瞳が恐怖と哀しみに染まり、一つとなっている男の視線にしがみついた……幾多の男女関係、その時でも避妊だけは欠かさなかった……妊娠する事の責任を、命を宿す事の重大さを、女性なら知っているはずだ……本当に愛した男性とでなければ、命の受け渡しなど出来ようはずがない。