無銭湯記スパゲッチュー-3
第3話『剣』
「この剣を買ってくだされ」
そう言うと老人は、一ふりの剣を俺に差し出してきた。
「これは勇者の剣と言って、自らの意志で持ち主を選ぶ剣ですじゃあ」
なるほど立派な剣だと俺も思った。
聞けばもう2日も何も食べていないらしい。
俺は5000ゴールドで剣を買ってあげる事にした。
「剣が自分で持ち主を選ぶって言ってたよな?」
まさかそんな事があるはずもあるまい。だまされた! と思った瞬間、腹もたったが。
こうなった以上、俺も同じ手口で、誰かにこの剣を売り付けてやろうか! そんな事がフと頭を過ぎる。
だが待てよっ!
こいつはそうやって何人もの手を渡ってきた剣なのだなあ・・・ と、俺は考えてもみる。
そしたら・・・ なんとなくもったいない気がして来たのも事実。売らずに持っていることにした。
つづく