無銭湯記スパゲッチュー-17
第18話『恐怖の報酬』
王様はとてもご機嫌だった。
宿敵ゴルドバ軍を、砦一つの犠牲で追っ払うことが出来たのだから、それもそのはずである。勝てば官軍とばかりに、カ
ンラカンラの高笑いである。
「そなた達に褒美(ほうび)をやろう! 何か欲しい物が有れば遠慮なく言ってみるが良い」
王様は、そのふくよかな身体を上下に揺らしながら、そう言ってはくれたが。
言われて考えると、案外良い物が思い付かないものだったりもする。
そんな悩み顔の俺を差し置いて、レイモンドの奴が言った。
「1000万G(ごーるど)欲しい!」
このバカっ! いきなり金をせびるのか!!
俺はこの場でレイモンドのアホを死なそうかと思った。
当然1000万Gと聞いてか、家臣達もざわついた様子だったが、王様は・・・
「なんだ! それっぽっちでいいのか!?」
と、なんの動揺の様子も無かった。
あっと言う間に王様の家来達が大量のG金貨を運んできて、レイモンドの目の前に山の様に積み上げると。これにはさす
がのレイモンドもビビったらしい。何を思い詰めたか、泣きそうな顔をしていた。
そんな彼女の横顔を見詰めて、愕然としていた俺の肩を、大様は叩きながらこう言った。
「君にはこれを、あげよう」
俺は王様に、古文書の様な文字が書かれた一枚の紙切れを手渡された。
見るとその紙切れには『熱海温泉無料招待券』と、書かれていた。
俺は思った。
「またかい!」
つづく