無銭湯記スパゲッチュー-16
第17話『しくじり』
湖の辺(ほとり)は、気持ちが良いものだ。キラキラ光る湖面を見ながら、心地よ良く頬を撫でる風を感じていると、心
が洗われるようである。
「おい! ちゃんと水門閉じたか!?」
レイモンドの奴が急に水が飲みたい、なんて言い出したものだから、俺も仕方なく湖の水門を開けてやったが。水ぐらい
川ででも飲めばいいだろうに。まったく持って面倒な奴だ。
「あっ! 忘れてた!!」
なに! 開けっ放しかよ!
俺は焦って、彼女が開けっ放しにした水門を確かめに行ったが。・・・どうやら後の祭りだったらしい。
水門は見事に決壊し、大量の水が周りの木々をなぎ倒して山を下っていた。
俺は呆然として開いた口が塞がらず。遥か彼方に有る『ガスト砦』ごと、『ゴルドバ軍』の兵士達が成すすべも無く、巨大な鉄砲水に飲まれ、流されて行く姿を眺めていた。
つづく