焔の精霊-15
「多分、キャラのせい」
「オレ?」
いきなりのご指名にキャラは自分を指差して横に居たアースを見上げ、アースもキャラを見る。
「うん。召喚師って知ってるかい?」
聞き慣れない言葉に全員が顔を見合わす中、アースが答える。
「確か500年ぐらい前に途絶えたっていう……」
「そう。召喚師ってのは、異世界に住む『魔獣』を呼び出して使役する事が出来る魔法使いの事。生まれつきの才能だから物凄く数は少なかったみたいだね」
「キャラがその召喚師の才能を持ってると?」
「多分だけどね」
「それとアビィとどう関係あるのさ?」
エンの疑問ももっともだ、とベルリアは頷き先を続ける。
「精霊ってのは元々は魔獣なんだそうだよ。召喚された魔獣が放置されて、精霊や魔物などになっていったらしい。だから、召喚師の才能を持つキャラには精霊が見えるし、彼らも本能的に従うんじゃないかな?」
そう考えればつじつまが合う事がたくさんあるが…アビィが実体化、巨大化した理由にはならない。
「それでね、魔獣にとって召喚師の魔力はもの凄い力になるんだって」
「ああ、だからアビィは飛びついて……」
「キャラの魔力を使って実体化したんだと思う」
そこまで話したベルリアはアビィに目を向けて合ってるかい?と首を傾げる。
アビィは頷きながら親指をグッと立てて正解の意思表示をする。
アビィのコミカルな動きに苦笑いしながらベルリアは先を続ける。
「で、巨大化は……エンと契約したって事じゃないかな?」
「契約ぅ?」
エンがアビィを見上げると、アビィはコクコク頷いた。
「これは昔話の中にあったんだけど、『精霊と契約すると力を借りる事が出来るかわりに、何か大切なものを失う』ってね」
「えぇっ大切なものってなにさ!?」
その内容にさすがに焦る。
「ん―…その話の中じゃ腕だったけど…」
恐る恐るアビィを見ると、今度はブンブンと首を横に振ったのでエンは胸をなで下ろす。
「ま、昔話だしね」
ベルリアは肩をすくめて開いていた本をパタンと閉じる。
「今、リンが他にも記述が残ってないか調べてるから……わかるまでは自力で何とかしてくれ」
「何とかって……」
エンはアビィを見つめて途方に暮れた……りはしなかった。