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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第3部 ご主人様への飛翔-3

3.親友

「えっ・・・」
私はびっくりして、美月の顔を見ました。

「あのねえ、私がどうして麗と友だちになりたいと思ったか知ってる?」
「ううん、知らない。前からどうして私と親しくしてくれるのか、不思議に思ってたの、どうして?」

「麗が、本当は自分勝手どころか、すごく優しい気持をもっていて、いざというときにそれをちゃんと実行できる子だって、知ってたからだよ」
「ええーーっ」
意外なことをいわれたので、私は驚きました。

「私が麗と友だちになりたいと思ったのは、入学して1月くらい経ったときのことだよ。
朝、ウチの生徒たちが学校へ向かっていると、一目で障がいがあるなとわかる5年生くらいの男の子が、逆方向から歩いて来てた。
その子は転んだらしく膝を擦りむいたようで、血を流していて少しびっこも引いてた。
ウチの生徒たちはみんな、チラッと見てそれに気づきながらも、知らん顔です
れ違っていった。
私もみんなと同じようにそうしたよ。

でも、ちょっと気がとがめたんで、少し行ってから立ち止まって振り返った。
そうしたら、1人立ち止まって心配そうにその子を見てたウチの生徒がいた。
その生徒は、男の子が近付くとちょっと待ってというように手でその子を止めて、しゃがみこんでティッシュで血を拭き取ってハンカチを出して傷口を縛ってあげた。
そして、立ち上がるとニコッとして、男の子に小さく手を振った。
男の子は、びっくりした顔をしただけで、何もいわずにまた歩きだして、行ってしまった。

そのとき私は、ウチの学校にもカッコイイ事をする子がいるなあと、嬉しく
なった。
そのときのその生徒が、麗、あんただよ」
「えーっ、そんなことあったっけ?・・・私、覚えてない」

「私は、そのときまで麗のことを、勉強はよくできるけどほとんど誰ともしゃべらなくて、陰気な子だとしか思っていなかったんだ。
でも、できそうだけど気後れしたりしてなかなかできないことを、躊躇なくきちんとできるすごい子だとわかったから、友だちになりたくなったんだ」
「えーっ、そうだったの?それだのに、私全然打ち解けなかったね。ごめん!」

「いいんだよ。麗が打ち解けないのは、私を拒んでるんじゃないって、わかってたからね。
班での活動や掃除やなんかでも、最小限しかしゃべらないけど、ちゃんとみんなのことを考えながらきちんとやっていたことは、私だけでなくみんな認めていたから、イジメに遭ったりすることもなかったんだよ。もっとも、麗をイジメるような子がいたら、私がただじゃ置かなかったけどね。

だから、心のバリア張っていたとしても、麗は自分勝手なんかじゃなかったんだよ。
そうして、とうとうため口で話すようになって、心のバリアを張っていた理由もちゃんと話してくれたから、今日からは、私たち親友だよ。いいよね?」
「うん、どうもありがとう」
私は嬉しくて、涙が出てきました。

そして、こんなに私のことを思っていてくれる人に、忘れ物の凶器を置いていくようなことを考えたのを、深く悔いました。
自殺した子にも、その子のことを思ってくれる人はいたはずなのに・・・、と
いう考えが頭をよぎりました。
そこで、
「ねえ、美月、後で礼拝堂へ行かない?
私、自殺した子とその子のことを思っていから傷ついてしまった人のために、お祈りをしたいんだ」
というと、
「うーん、その子のことを思っていたから傷ついてしまった人のためにもか?
さすがに麗は私の親友だけあって、いいことをいうね。
うん、わかった。一緒に行ってお祈りしよう」
と、美月はすぐに同意してくれました。

こうしてご主人様のお蔭で、美月という素晴らしい親友を得ることもできたのです。





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