年下のS彼氏-3
――・・・
榊 優斗。大学2年生の20歳。美奈の部屋にいた男の名前だ。
モデルは、たまに頼まれた時だけバイトとしてやっていた。雑誌よりもチラシなどの広告のモデルをやることが多い。
今回みたいに、生で大勢の人に見られるイベントは初めてだったが、
企業側の人も熱心だったし、イベントそのものも熱気に溢れていて優斗も楽しんでやれた。
「かんぱ〜い!」会社への持込の打ち上げだったので、缶ビールで乾杯する。
企業の人たちは女性が多かった。男性もいたけど、優斗が想像していたようにいばりくさっているんじゃなくて、
女性たちに好きなようにやらせてフォローする、といった姿勢が見えて、きっといい会社なんだろうな、と思った。
「君、飲んでる〜?」後ろから声をかけられてびっくりして振り向く。
・・・あ、この人・・・。
準備中、一番ちょこまか動き回ってた人だ。
他の人がやりやすいように動いているのが分かって、見ていて気持ちが良かったのを覚えている。
しかし・・・今は、きびきびと仕事をしていた人とは別人のようだ。その女性は優斗の隣に腰を下ろす。
「イベント、楽しんでもらえた?」
「は、はい・・・。久しぶりに楽しい仕事でした」
これは、本音だった。
「よかった〜、このイベントね、私が企画したんだよ。みんなに楽しんでもらえて本当に嬉しい!」と言いながらビールを飲み干す。
生き生きと仕事をしている女性・・・。大学生の優斗には、新鮮だった。それから二人で、色んなことを話した。