年下のS彼氏-2
「・・誰って、昨日のこと覚えてないの?」
男が目をこすりながら起き上がる。
昨日って・・・。美奈は、必死に昨日の出来事を思い出そうとした。
昨日は、確か・・・そう、仕事で。
美奈はアパレル関係の広報を担当している。
新商品をモデルに着てもらって、一般の人に見てもらうイベントがあった。
・・・そういえば、この男はそのモデルの中にいたような気がする。
イベントは大成功に終わった。そして、みんなで打ち上げをしようと、
会社にお酒を持ち込んで・・・というところまで覚えている。
美奈は、お酒は大好きだけどそんなに強くない。途中で記憶をなくしてしまう事がほとんどで、親しい友人からは
「あんた、お酒飲まないほうがいいよ」と詳しくは教えられずに忠告されることも度々あった・・・。
っていうか・・・。昨日は結局どうしたんだろう。
怖かったけど、聞いてみることにした。
「私、昨日のこと全然覚えてないんだけど・・・何があったの・・・?」
「ひどいなあ、あんなに熱く俺のこと求めたくせに忘れちゃうなんて」
「・・・!!」
美奈は男をまじまじと見つめた。
男、というより男の子と言った方がいいかもしれない。
サラサラの黒い髪、白い肌。モデルをしているだけあって、かなりの美形だ。
長い手足、すらっと伸びた指。美奈はギリシャ神話の彫刻を思いだしていた。
「昨日のイベントの後・・・」