第2部 SM観の大転換-15
14.三つの謎
「今晩は、麗さん。さっきは、エレベーターの中でのバレンタインプレゼントありがとう。嬉しかったよ」
「そんな・・・、とんでもありません。つい甘えてしまって、ご迷惑でなかったですか?
私の方こそ、今日は本当にありがとうございました。
お蔭さまで、大事件以来見失っていた家族を、取り戻すことができました」
「それはよかった。少しはゴットフリート叔父の真似事ができたかな?」
「とんでもないです。真似事どころか、ゴットフリート叔父をはるかに超え
て、救世主になってくださいました。本当に感謝感激です」
「ほおう、救世主とは、またずいぶん出世できたものだなあ!
待てよ。そうすると今度会うときは、紙袋に「救世主」と書いた紙をつけてお
かなければいけないね」
こんな具合に、ご主人様はユーモアがおありで、冗談が結構お好きなのです。
私は、クスクス笑いながら、返信しました。
「もう、お顔を覚えましたから、目印はいりません」
「あはは、冗談はそれくらいにして、そろそろ本題に入ろうか。
初めにいっておくけど、悪夢の解明は麗さんにとってかなりキツイことになるかもしれないよ。
だから、麗さんが苦しくなって続けられなったら、すぐに中止することにしよう。
麗さんは苦しくなったらすぐ中止を申し出てね。
麗さんの反応を見て、私の判断で中止にすることもあるよ。
それでいいかな?」
「はい、わかりました。」
「まず、悪夢についてどんな謎があるか整理しておこう。
今日、悪夢(第1部の「6.衝撃の悪夢」を参照してください)のことを話してくたとき、知らないはずのことなのに、どうして夢に出てきたのかわからない
といっていたよね。
その知らないはずのことというのは、何なのかな?もう一度教えてくれるか
な?」
「はい、男の人のおチンチンが大きくなるとか、おチンチンを口に入れたりすることがあるなんて、その夢を見たときまで全然知らなかったんです。
それなのに、どうしてそんな夢を見たのか、ずうっと不思議に思っているんです」
「それが一つ目の謎だね。
それから、夢の中で麗さんは、裸で縛られておチンチンをしゃぶったりしていると同時に、それをそんなことしちゃダメと思いながら見ている。
つまり、麗さんは身体と心が分離してしまっている。そういうのを身体離脱というんだけど、なぜそのような身体離脱している夢なのかが、二つ目の謎だよね」
「はい、そうです。どうしてそんなことになっているのか、訳がわかりません」
「それから、これは悪夢と関係ないようにも思えるけど、大事件の後、麗さんはどうしてもおばあちゃんの部屋に行けなくなってしまったよね」
「はい、もう長い間行こうともしていませんけど、どうしても行けなくなってしまいました」
「そうだね。それが三つ目の謎だ。
私は、ある一つ出来事が起きて、その後すぐにあの大事件が起きたことが、この悪夢の原因になったと推測しているよ。
三つ目の謎から、その出来事が起きた日を推測できるし、
一つ目の謎から、その出来事の内容が推測できるし、
二つ目の謎から、その出来事から生じた謎の原因が、推測できると考えているんだ。
辛いことになるかもしれないけど、私の推測にもとづいて一緒に考えてもらえるかな?」
そういわれて、私はちょっと緊張しました。
でも、ご主人様が悪夢を解消してくださると、信じられました。
だから、たとえ辛いことがあっても、ご主人様についていこうと決心していました。
「はい、私、辛いことがあっても逃げません。最後までご一緒に考えます」
と返信しました。