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『あるM女の告白』
【SM 官能小説】

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第2部 SM観の大転換-12

12.愛の命綱

「意識していなかったかもしれないけど、パパとママの思いはちゃんと麗さんの心の中にあったんだと思うよ」
「はあ・・・?そうでしょうか?」
私は、半信半疑でした。

「パパとママが亡くなった後、麗さんはしばらく声が出せなくなったし、それからもずっと一緒に死にたかったという本当の思いが封印されていたんだよね」
「はい」
「どうして、そうなったと思う?」
そういわれても、私には皆目見当がつきません。
「さあ、わかりません」
とお答えするほか、ありませんでした。

「私は、こう推理することができると思うんだ」
ご主人様は、優しい目で私を見つめておっしゃいました。

「一緒に死にたかったという思いは本当の思いだけど、その思いだけだと麗さんは生きる気力をなくしてしまい、本当に命が危なくなる事態が起こる危険があった。
でも、そのときの麗さんの心には、それまで大事に育ててきてくれたパパとママの、麗さんに生きていてほしいという思いもちゃあんと伝わっていた。
だから、麗さんに伝わっていたそのパパとママの思いが、麗さんの本当の思い抑えるために、声が出ないようにしたり、意識に昇らないように封印してい
たんじゃないかな?」

私は感激しました。
パパとママは、死んでも私を守ってくれていた!
私の心の中にいるパパとママが、ずっと私を守ってくれていた!
それは、心の底から信じられます。
私は涙を流しながら、何度も何度もウンウンとうなづいていました。

「だからね。パパとママと麗さんは、深い愛情で結ばれていたんだ。
その愛情が命綱となって、この上ない悲しみに遭遇しても、麗さんを守ってくれたんだ。
だから麗さんは、無意識のうちにパパとママの思いを実行していたんだよ」
「はい、わかりました」
私は大きくうなずいて、いいました。

「今でも、パパとママの思いは、麗さんの心の中で生きているよね」
「はい、もう絶対に忘れないようにします」
「うん、それじゃあ、麗さんが死んでしまったら、麗さんの心の中に入るパパとママがどうなるかは、もうわかるよね」
「はい、私が死ねば、心の中のパパとママも死んでしまいます」

「そうだ。そうすると、麗さんが自殺すれば自分を殺してしまうと同時に・・・」
ご主人様はここで言葉をとめて、促すような眼で私を見つめられました。
私は、ハッと気がつきました。
そして、私がとんでもないことを考えていたことを思い知りながら、つぶやき
ました。
「・・・心の中にいるパパとママを、殺してしまいます」
「そうだ。そのことも、忘れないでいてくれるね?」
「はい、絶対忘れません」

私は深く反省して、大きくうなずきました。




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