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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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黒の魔導師-3

「っ…そろそろ…やべぇ…」

 眉間に皺をよせて呟くアースの唇に、リンが自分のを重ねる。
 アースは今度は我慢せずに欲望を吐き出した。

「っぐ…」

 吐き出したと同時に、重ねている唇から大量の魔力がリンに注がれていくのが感じられた。

「ふ…くぅっ」

 アースの全身から滝のように汗が噴き出し、快感と疲労がごちゃ混ぜになったような感覚が体を襲う。
 リンは離れないようにアースの顔を両手で押さえる。

「…ぐっは、はぁ…はぁ…はぁ…」

 ようやく離してもらった頃には、アースは全身を襲う疲労感に動けなくなっていた。

「ご馳走さま♪」

 リンはそう言うと結合を解き、もう一度軽くキスして目を閉じた。

 リンの体が光に包まれたかと思うと輪郭がぼやける。
 光がおさまった時、そこには、蜂蜜色の長い髪、紫色の瞳の……

……男がいた。

「……せめて俺の上からどいてから変わってもらいてぇんだが…」

 男に跨られるのは趣味じゃない。

「私に言うな。リンに言え」

「同一人物だろ」

「別人格だ」


 実はこの男、ベルリアは先ほどのリンと体を共有している。
 母親の胎内に居るときに事故に合い、魔力が暴走した結果、双子だった2人は1人の人間として産まれた。
 基本的には男で通しているが、やはり1つの体を共有するには無理がある。
 そこで2人は長い年月をかけて分離する方法を研究し、発見したまではいいのだが、そんな大魔法を行うための魔力が足りなかった。
 そこで目をつけられたのが強力な魔力を持つアースだ。
 アースの魔力を貯めて大魔法に使う。
 2人のお願い……というか、脅しでアースは魔力を供給している。
 それでなぜ、性行為をするかというと、エクスタシー時の魔力が一番濃縮されており、魔力の受け渡しは口移しがもっとも簡単で効率的だからである。

 ちなみに、一度断った時は、身動きが出来ないように魔法で拘束され、散々弄ばれたうえに、無理やりイかされた。
 あんなのは二度とゴメンだ、という事でとりあえず言いなりになっている。

「あと、どれくらいで貯まるんだ?」

 脱ぎ捨てられた服を拾い、身につけているベルリアにアースが聞く。

「あ〜…今年中にはなんとかなりそうって感じだな…」

 ベルリアの答えにアースはうんざりする。
 季節はまだ春。
 いったい後何回やりゃいいのか検討もつかない。
 いつまでたっても慣れない、後引く疲労感にアースは盛大にため息をつく。


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