黒の魔導師-22
「じゃ、決定と言う事で。学校に来るのは1週間後から。
住む所は寮を使ってくれ。今日はアースが休みだから、色々教えてもらうといい。」
サクサクと決めるベルリアをアースは手をあげて遮る。
「あ、こいつ俺んとこ住むから。連絡先一緒でいいぞ。」
「……はあ?」
アースの発言にベルリアが驚く。
「……おいおい」
そうなのかい?とベルリアはキャラを見る。
キャラは真っ赤になりながら目線をそらす。
「つうわけで、もうヤらねぇからな。リンにも言っといてくれ。」
アースはベルリアに言うと、有無を言わさず、キャラの手を引っ張って部屋を出る。
慌てたキャラはベルリアに会釈する。
「なっ……アース!こらっちょっと待て!」
ベルリアは立ち上がり呼び止めるが、アースはさっさとその場を立ち去る。
手を引いて進むアースに、大人しくついていきながら、キャラは聞く。
「いいのか?」
学長がなんだか怒っていたように感じたのだが……
アースはチラッとキャラを見ると、言いにくそうにベルリアとリンの事情を出来るだけ詳しく話す。
話を聞いたキャラの反応は特に驚いた風も無く、アースは少し安心する。
「……え〜っと、じゃあ……これから学長達はどうやって魔力集めるんだ?」
「そんなの知るか」
アースの答えは非常に素っ気ないものだった。
2人は生活に足りないものなどをリストアップすると、街に買い物に行く。
日用品や、キャラの服などを買うと、すっかり暗くなってしまった。
「飯喰って帰るか」
アースはそう言うと近くにある行き着けの食堂に入る。
「いらっしゃい!導師さま」
元気のいいおばちゃんがいる食堂は沢山の客で賑わっていて、座る所が無いぐらいだ。
「新しい彼女かい?!」
「まあな」
余計な事は言うなよ、と表情で釘をさすアースに、おばちゃんは大爆笑する。
「おーい、アース!こっち空いてるよ〜」
一番奥の席に座っていたエンが2人に気づいて手を振る。
「ぶふっ」
エンの姿を目にした瞬間、キャラが手を口に当てて吹き出した。
初対面でいきなり笑われたエンはさすがにムッとする。