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ゼビア・ズ・ストーリー
【ファンタジー 官能小説】

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黒の魔導師-13

「これくらいなら同意無しで許せ」

 アースはそう言うとキャラの頭をポンと軽くたたき、出て行った。
 あまりにも無駄の無い動きに身動きが取れなかったキャラは、アースが出て行ったドアを見ながらキスをされた頬に手をやり呟く。

「…だから…意味わかんねぇよ……」


 学校に戻ったアースは学長室に行くと、火蜥蜴の事、精霊が見えるというキャラの事などをベルリアに報告する。

「ほぅ、精霊が見えるのか。話してみたいな」

 珍しい能力を持っているらしいキャラに、ベルリアは興味をもつ。

「…まだ、どっかいるだろ。探してみようか?」

 実は惚れてしまって自分の家に連れ込んでる、とは口が裂けても言わない。

「そうだな。礼もしたいし、頼む。
街のほうも落ち着いたし、お前も帰っていいぞ」

 帰っていいと言われても、今日は戻らないとキャラに言っているので帰れない。
 しょうがないので、疲れたから学校の宿直室で少し休んでから帰る、と言ってアースは学長室を出た。


 その頃キャラは遠慮なくアースの家でくつろいでいた。

 煤けて汚れた服を洗い、明日着れるように干しておくと、風呂にお湯を張って疲れた体を沈める。

「ん〜〜〜〜」

 気持ちいい〜、と体を伸ばし、ドタバタした1日を振り返る。

 キャラは山の中の田舎育ちで、精霊が見えるという事で結構気持ち悪がられていた。
 色々あって故郷を飛び出し、魔法学校があるゼビアの国にやってきたのだが、着いた途端に山火事に巻き込まれた。

 あまりにも精霊達が必死になってキャラを引っ張るので山に入る羽目になり、途中で見かけたアースに声をかける事になった。
 1人でどうにかできる訳もないし、明らかに魔法使いだと思ったし……まさか魔導師だとは思わなかったが……確か、魔導師は魔法使い最高ランクの称号だったはずだ。

(……あれは、綺麗だったなぁ……)

 魔法陣を解除している時の舞い散る光を思い出してキャラはため息をつく。
 そして、アースの金色の目。
 ハッキリ言ってあれにはかなり魅了された。

(……だからって、いきなりこれはないだろ……)

 キャラは自分の唇を指でなぞる。
 問題は、いきなりされたという事にムカついただけで、行為自体は嫌じゃなかったということ……と言うか……むしろ……
 キャラは至近距離で見つめてくる黒い目を思い出し、思わず真っ赤になってしまった顔をお湯に半分沈める。

(……ほんと、意味わかんねぇ……)

 アースの行動もだが、自分の事も…。



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