淡恋(前編)-1
…カズオが、もし女の子だったら、もっと好きになれたかもしれない…
そんなことを悲しげに言ったことがあったマサユキさんの顔が、僕の脳裏に浮かんでくる。
嘘だと思った…。
嘘だと思いながら、マサユキさんのその言葉を、ふと思ったときから、僕は、髪を伸ばし、
女性のように化粧をするようになったのだ。
マサユキさんが、白血病で死んでから、もう三年になる…。
僕がマサユキさんに初めて抱かれたのは、高校一年の秋の終わりで、マサユキさんは僕より二歳
年上だった…。
…ううっ…と、ベッドに押し倒された僕は、顔をのけ反らせるように喘ぐ。
マサユキさんは仰向けになった僕の薄いふくらみをもった胸に頬を寄せる。
…カズオのからだには、蜜の匂いがするよ…
そう囁くマサユキさんに肌を愛撫されるほど、僕の薄い胸の奥がかすかな熱をもち、少女のよう
なピンク色の乳輪の中で、乳頭が、まるで花を開かせる寸前の可憐な蕾のようにふくらんでいた。
自分の中のときめきが、一瞬、癒されるように、僕は溢れ出る唾液を咽喉の奥深く呑み込む。
マサユキさんは、僕の白いからだに寄り添いながら、胸に琥珀色の唇を寄せている。湿った乳頭
を唇に含み、甘噛みするように舌先でなぞる。
…ああっ…あっ…
僕は、乱れた呼吸とともに嗚咽を洩らす。
マサユキさんの舌先から伝わってくる体温が、物狂おしくなるほど悩ましかった。僕のなかに
擽るような疼きが、ひたひたと押し寄せてくる。
マサユキさんは、白い歯を軽くたて、小豆のような僕の乳首をしゃぶりながら、薄い胸肌を揉み
あげる。腋下を唇でまさぐられ、腋毛のない地肌を鼻先でなぞられると、僕のからだの芯に煌め
くような火照りが生まれる。
やがてマサユキさんは、僕の鎖骨から首筋へとゆっくり舌を這わせていく。
そして、僕の薄い唇をとらえる。マサユキさんの手が僕の頬に触れ、微熱を含んだ吐息が洩れる
唇の縁を舌が優しくなぞる。
そのとき、目を閉じていた僕は、なぜか、ふとマサユキさんのからだの中から吹いてくる冷たい
秋風を感じたような気がした…。
長く甘い接吻のあと、マサユキさんは、僕の股間に大胆に顔を埋め、白い太腿の内側に愛おしく
唇をすべらせた。僕の白いブリーフの中が、こんもりと盛り上がってくる。
感じているのだ…それが、ほんとうにうれしかった…。