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淡恋
【同性愛♂ 官能小説】

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淡恋(前編)-2

僕のすべすべとした肌をした脚に、マサユキさんがゆるやかな愛撫を続ける。ふくらはぎから
足首を、マサユキさんに愛おしく唇を這わせられると、僕のペニスがブリーフの中でぷるぷると
喘ぐように揺れる。

そして、マサユキさんは僕の細い足首から指先まで、気が遠くなりそうな優しさでなぞりあげ、
足指の股にねっとりと舌を差し込み、鳥のさえずりのような音をたて、爪先まで執拗にしゃぶり
抜くのだった。


…あっ…ああっ…いい…いいよ…

僕は、嗚咽を洩らしながら、白い首筋をのけ反らせ、かすかに腰を震わせる。

さらさらと音をたて溶けていく体中で、僕はマサユキさんを感じていた…。僕の白いブリーフの
中のふくらみは、その透明な疼きによってどこまでも堅さを増していく。


でも、マサユキさんの瞳は悲しすぎるくらい藍色だとふと思うことがある。藍色の瞳の中に
幾条かの銀色の潤みが、いつもかすかな渦を巻いているようだった。


マサユキさんは僕の薄いブリーフを脱がせ、掌を沿わせながら、唇で僕のペニスを愛おしく愛撫
してくれる。僕のペニスとマサユキさんの唇のもつれるような戯れは、お互いの心とからだの
渇いた部分を撫であい、啜りあい、慰めあっていた。

マサユキさんの唇に優しく包まれた僕のペニスは、息づくような呼吸を始めている。そのペニス
の中から蕩けた女の蜜のような愛液が、マサユキさんの口の中に広がる体温に優しく抱きとめら
れるのだった。


あのころ… 僕はどこか虚空をつかむような切なさを、なんどもマサユキさんに感じたことを
憶えている。それが何なのか、僕にはわからなかった。


すでにそのとき、マサユキさんは、病気に冒されていたのだった…。



僕が住んでいるアパートは、すでにうっすらとした薄暮に包まれ、窓から見える猥雑な家々が、
灰色の驟雨に痛々しく晒されている。

あのときのことが、すっと目の前をよぎったとき、僕の部屋の窓際に置いた青磁色の小さな花瓶
のかすみ草に、ふと目が止まる。

それは、マサユキさんが好きだった花だった。その香りが枯渇した咽喉にすっと忍び込んできた
とき、マサユキさんの中にあった甘く懐かしいものを胸いっぱい吸い込みたい気持ちになる。


僕がマサユキさんと初めて口づけをしたのは、僕が高校に入学して、三ヶ月ほどたった頃だった。

マサユキさんと僕は、ブラスバンドでフルートを吹いていた。彼に惹かれる自分の心が不自然だ
とは思わなかった。すっと心とからだが吸い込まれるように、僕はマサユキさんに魅了されてい
った気がする。

すらりと背が高く、鼻筋の高いハンサムなマサユキさんは、女の子たちにも人気があった。そん
な彼を盗み見るように、僕はいつのまにか遠目に視線を注ぎ、胸がほのかに苦しくなるほど気に
なるようになっていた。


そして、忘れもしないあの日の放課後…


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