異界幻想ゼヴ・ヴェスパーザ-7
「あ、ああ、あ……!」
不意に深花が、腰の動きを止める。
濡れそぼった柔肉が絡み付き、たくましい肉茎を締め上げた。
「っは……!」
大きく息を吐き、ジュリアスは深花の最奥に白濁液を叩き付ける。
「あぁ……っ!」
子宮に向かって何度も精液が噴き上がると、深花の全身が痙攣した。
最後の一滴まで搾り取るように、肉壁が纏わり付いて子種を貪る。
「はあ、あ……」
余韻に身を任せていると、ジュリアスが動いて一つに蕩けている個所を分離する。
「あ……」
体の中で色々なものが逆流するのを感じ、深花はぎくりと身を震わせる。
「ご、ごめんトイレ……」
そそくさと身なりを整えた深花は、慌てて部屋を出ていった。
ドアが閉じて深花の気配が遠ざかっていくと、ジュリアスは大きくへたりこむ。
ティトーに機会を譲りたくなくて、無理に深花を抱いてしまった。
全く、自分が嫌になる。
使いの者が王妃の返事を携えてやって来たのは、それからすぐの事だった。
レシュ・ホーヴ十五世妃、メルアェス・ザレド・ホーヴェルト。
齢四十半ばを越していながら、その容姿ははっとするほどに若々しくみずみずしい。
豪奢に結い上げた髪は、細かいカールのかかった薄めの金。
一族共通の、癖のある美形顔。
ユートバルトの外見は、母方の血が色濃く出ている事を納得させられる。
その彼女は今、自室のテラスで優雅にティータイムを過ごしていた。
「妃殿下。ミルカ様をお連れいたしました」
侍従が部屋の中から声をかけると、メルアェスはゆっくりこちらへ振り向いた。
「ようこそ、ミルカ。こちらへいらっしゃい……ご苦労様、下がっていいわ」
早めに侍従を追い出すと、メルアェスは自分の向かいの席へ深花を招いた。
「お茶を一杯いかが?」
「いただきます」
それを聞いたメルアェスは、伏せていたカップにハーブティーを注いだ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
深花がお茶菓子二つとカップ一杯のハーブティーを飲み干すまで、メルアェスは無言だった。
「それで、私と面会したい意図は何だったのかしら?」
ソーサーにカップを置いた深花は、王妃を見据えた。
「王子殿下の事で、少々気になる事がございまして。お答えいただけるのは王妃様しかいないと思ったからです」
権謀術数に長けた王妃は、面白そうに目を光らせた。
「話してみなさい」
一つ頷いて、深花は話し始める。
「妃殿下は、王子殿下と姪君のファスティーヌさんが親密にお付き合いされているのを、当然ご存知なんですよね?」
メルアェスは、余裕の笑みを浮かべた。
「当然よ。王都の中で、私の目と耳から逃れられる事柄はそう多くない……その気になったらあなたが少し前にジュリアスと何をしていたか、詳細な報告を上げる事もできるわよ」
言外にとっくにそれを知っていると言われ、深花は真っ赤になった。
「お役目上必要な行為なのだから、気にする事はないわ。それより、話を続けなさい。私があなたに付き合える時間は多くなくてよ」
「で、では……」
空咳を一つして、深花は質問を続ける。