異界幻想ゼヴ・ヴェスパーザ-6
「妃殿下の目の前でピークが来たらどうする。目の前で体をいじる訳にゃあいかないだろ」
耳たぶを優しく噛まれ、深花はぴくりと反応する。
「でも……無理しないでいいよ……」
指先が首筋をなぞると、びくっと震えて逃げようとした。
「誰が無理してるってんだ」
首筋から顎へ北上した指先は、唇の中へ割って入る。
「むぐ……」
おとなしくその指を吸いながら、深花はジュリアスの表情を窺った。
あの時呼ばれた名前は、深花の心にしこりを残している。
『愛してる、メナファ』
ジュリアスの声が脳内にこだまして、申し訳なさで一杯になった。
想い人がいる男にこんな事をしてもらうのは、顔も知らないメナファという人に失礼だと思うのだ。
「俺は何も無理してないぞ。変な思い込みはやめてくれ」
口から指が抜かれたかと思うと、再び唇が重なる。
「ん……!」
唾液と共に熱を帯びた舌先が侵入してきて、深花の舌を搦め捕った。
思わずジュリアスの首に腕を回し、その体にしがみつく。
「んん……!」
情熱的で淫靡な口づけは、深花の全てを痺れさせる。
ディープキスで理性や常識といったものが何もかもぼやけてしまった深花は導かれるままに服を脱ぎ、ジュリアスの上にまたがった。
ジュリアスは腰を小刻みに動かし、反り返った肉棒で蜜を纏った淫部を刺激しつつ唇を貪る。
「あむ……むぅ……」
男の熱さと硬さを感じると堪らなくなって、深花は腰を擦り付けて挿入をねだる。
秘部が十分濡れているのは擦り合わせている個所の感触から分かるので、ジュリアスは深花の望みを叶えてやった。
体の中心部が占拠されると、深花はジュリアスの首にしがみついたままで腰を上下させ始める。
「あっ……はぁっ……あ、んあ……!」
ぶるっと、深花の腰が震えた。
結合した場所に忍んできた指が、まだ皮を被ったままの淫核に伸びる。
「あぁっ!」
みだらな蜜を塗した指が、突起を優しく嬲り出した。
「やだ、だめぇ……!」
どう聞いても甘えねだる声色に、ジュリアスは笑みを漏らす。
「もっとして欲しいくせに、嘘つきだな」
肉棒を奥深くまで咥え込んで離さないでいる蜜壺も刺激を受けて限界まで膨らんでいる淫核も、もっと愛撫が欲しいと態度で示している。
腿に冷たさを感じるので、蜜汁が垂れ落ちているらしいのも分かる。
「それに、濡らしすぎだろ」
「だって……!」
駄々っ子のように、深花はいやいやと首を振る。
「ジュリアスとするの、気持ちいいんだもの……」
アフターケアとして抱かれる事に慣れてしまえば、百戦練磨の三人は深花が不安に思ったり不愉快な気分にならないよう注意を払ってくれているのがよく分かる。
とりわけジュリアスの娼館仕込みのテクニックはプロからお墨付きをもらっただけあって、心身共に気持ちよくなれるのだ。
「そりゃ光栄なこって」
くすりと笑って、ジュリアスは自身を深く突き刺す。
「んあっ!」
きつく肉棒を締め上げ、深花はジュリアスに強くしがみつく。
「もっとしたいとこだけど、使いが戻ってきたらまずいからな」
唇にキスを一つ与えて、ジュリアスは下から深花を突き上げ始めた。
「はっ……あぅ、ああっ!」
抽送に合わせて腰を動かしながら、深花は男の肩に顔を伏せる。
こんな場所でこんな行為をしているのだから、声が漏れてはまずいと思ったのだろう。
肩に唇をつけて声を押し殺している様に、ジュリアスはむずむずした。
時折二の腕に爪を立てられる痛みを堪えながら、ジュリアスは腰を動かし続ける。