新たなステップ-1
愛梨が《本当の自分》を認め、《身体を知る努力》を開始してから半年が過ぎようとしていたある夜のこと。
通販で買ったオナホールに白濁を吐き出し、多少スッキリとした愛梨は姿見に映る自分を見てハッとした。
…なんだか……
大きくなった………?
行為に夢中になるあまり、ペニスの大きさの変化にすら気付くことがなかった彼女は、最初に目にした極小のそれとは比べものにならない程立派になったソレに目を丸くする。
『…これが……私の…?』
立派といっても中学生程度、大げさに言ったとしても他人から見れば驚く程の大きさでもなく一般サイズだが、愛梨にとってこの成長はかなりの驚愕。
『…こんな短期間で………?』
思わずへたり込んでいたベッドから立ち上がり、姿見の前に立ってみる。
『やっぱり…大きくなってる…』
ふき取りきれなかったローションと精液が混ざり合った液体の絡みつくペニスは、だらんとだらしなく垂れ下がりながら成長した分だけ重みを増していた。
…いやらしい身体……
そう思うと、とたんに恥ずかしさが込み上げて視線を逸らす愛梨。
紛らわすようにさっきまで使っていたオナホールとティッシュの山を片付け始める。
何故か部屋中の掃除を始めた彼女は、隅々まで綺麗に片付けながらなんとなく頭の片隅で今までのことを振り返っていた。
初めて向き合った時から、快楽を覚えて溺れるまでを追うと、部屋だけでは満足せずに家中で出来る限りのいやらしい行為をしたことが蘇る。
それでも物足りずにネットで大人のおもちゃを注文し始めたのはまだ最近のことで、そのグッズの気持ちよさにハマって次から次へと通販しまくった結果が、部屋を汚してしまったというわけだが…。
悶々と考えを巡らせながら、そろそろ通販にも飽きてきたな…とチラッと思ったその時だった。
《野外へのステップ》
という、ふたなりサイトのカテゴリーを思い出す。
引きこもりの愛梨にとって、外に出るというのは相当な勇気がいるもので、ふたなりサイトに出会ってから今までそのカテゴリーにはあまり縁がないと思い流す程度で、そこまで詳しく見ないでいた。
が、家中で思いつく限りの行為をし尽くしてしまった彼女にとって、新たな刺激を求めれば求める程《外出》への興味が深まるのも自然な流れ。
大きなゴミ袋にゴミをまとめた愛梨は、部屋の外に袋を出すと迷わずPCに向かい、ふたなりサイトを立ち上げた。
見慣れたTOPページからコンテンツを探し出すと、迷わずそこをクリックする。
現れた《野外へのステップ》の見開きの画像は、どこかの公園でふたなり女性が1人大きな木の下で衣服を捲り上げてオナニーをしているものだった。
ドキッとして思わず画像から目を離すと、下に綴られる文章へ視線を走らせる。