新たなステップ-2
《初めての野外》
そう太字で書かれたその下には、ぎっしりと詳細が綴られていて、愛梨の脳内に次々と新たな刺激が流れ込んでくる。
《初めてなら夜がおすすめ》
《夜の野外で注意しなければならないことは…》
《見られるかもしれない…スリル》
《大胆になれる》
《刺激的な野外オナニーのすすめ》
《パンティははかない方が刺激的》
《ミニスカートをはいて…》
こういった項目がいくつも並ぶその画面を、ひとつひとつ真剣に読んでいるうちに愛梨の思考は益々外へ向いていく。
…どうしよう…。
私……
でも…怖い…………
興味だけは物凄くあるものの、引きこもり歴の長い愛梨には外に出るということ自体に抵抗がある。
どうしよう、どうしようと思いを巡らせるうちに、妄想だけが先立ってムクムクと頭をもたげるペニスに、やはり手を伸ばして扱き始めてしまう愛梨。
その気持ちよさにすっかり夢中になりながら、頭の中で野外オナニーをしている妄想をするとたちまち放出してしまい、いかに野外への関心が強いのかを思い知らされる。
『はあ…はあ…』
荒い息をしながらPCに視線を戻すと、一通のメールを受信していた。
『…?』
誰…?
誰にもアドレスは教えていないはずなのに、と疑問を抱きながら下半身の処理をしてメールを開くと、そこには知らない人物の名前。
『…笹本…玲子…?』
《ふたなり協会会長 笹本玲子です。この度は突然のメールで驚かせてしまい、申し訳ありません。》
こういった感じで始まる文章に色々な疑問を抱えながらも読み進めるその内容に、興味と猜疑心が混ざり合う。
次々に目に飛び込んでくる言葉は、外への興味や更なる快楽、自分自身のふたなり的成長を望む今の愛梨に、必要となのではないかと思ってしまうことばかりだった。
《ふたなり育成》
《快楽の追求》
《場所を選ばず…》
《外での行為にも…》
《複数での実習》
《トレーナーを雇い…》
など、長々とPC画面を埋め尽くした文章を簡単にまとめると、《ふたなり協会会長直々にふたなり育成会へのお誘いと、引きこもり脱出のお手伝いをしたい》というものだった。
メールを読み終わった愛梨は、メールを読み始めた時の疑いも忘れまるで何かに操られているかのように、夢中で返信作業に取りかかっていた。
私…
もっと自分を知りたい…っ
もっと…気持ちいいことがあるなら知りたい…っ
カタカタとキーボードを叩く音だけが部屋中に響き渡り、愛梨はその数分後メールを送信した―。