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ZERO
【ファンタジー その他小説】

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『ZERO外伝』〜エピソード零〜-2

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「都、よくやった。うん、えらい」
「『えらい』じゃないっしょ! 死にそうになってたくせに!!」
 ここは、北都にある例の酒場。先程の空戦の、勝者である用心棒たちの溜まり場だ。
 都と呼ばれた、複座零戦の女―――いや、少女と呼んだほうがぴったりくる。名前は、千歳 都(チトセ ミヤコ)。本日、彼女は大変ご立腹らしい。
 で、死にそうになってた零戦の男―――まだガキか。「←オイ(怒)!」
「翼! オイって何よ(憤怒)!!」
「あっ、ちがうちがう。外野の話」
 都に癇癪を食らっているのは、横田 翼(ヨコタ ツバサ)。
 その横に、3人。酒場の店主と、スピットファイアのパイロットだ。
「まぁ、都ちゃん落ち着いて。今日は2人の初陣と、初撃墜の祝いなんだから」
「そうネ。料理か冷めてしまうヨ」
「………」
 なだめている中年の男が店主。
 名前は…(←作者、確認中)そう!伊丹。伊丹 憲治郎(イタミ ケンジロウ)。時々、NEFのパイロットもやる男である。ちなみに、今日は非番らしい。
 その横で、翼よりも料理を心配する怪しげな中国人。
 彼は、徳(タク)さん。スピットのパイロット。本編でも、本名や正確な歳は出てこない。だから作者も知らない(無責任)。
 そして、本編でもほとんど喋らない(これを作者が書いてる時点では、まだ喋ってない)女性。
 彼女の名前は、成田 仁美(ナリタ ヒトミ)。彼女も、スピットのパイロットで、『ZERO』の紅一点でもある(都は?)。が、重度のアル中。今日も既にワインのビンが空いている。今、2本目。
「で、私は『初撃墜』だけど、翼は?」
「うっせー。ついてなかっただけだよ」
「じゃあ、伊丹さんケーキ用意して。『祝、トンズラ』って入れたやつ」

「フンッ。人殺しがなにを…」

 バコッ!!

 ……伊丹さんに殴られて、翼が床を転がる。
 翼が見上げた先には、顔を真っ赤にして、泣き出しそうな都。
「翼…出て行け。頭を冷やして来い」
 のろのろと、立ち上がった翼は、出口へと向かう。
「……分かってるよ。俺だって…くそっ!」
 カラカラン…バタン!
「伊丹さん…私、私人をっ」
 都の、顔を覆った手の間から、涙がこぼれる。
「いいんだ。それ以上言わんでも分かる」
「だって、翼が危ないと思って…その時は必死でっ。それで撃ったら、ちが…血がコックピット越しに見えて、それで…そのっ」

 バリン!!

 床にたたきつけられたワインのビンが、派出に割れる。
「仁美さん?」
 都が顔を上げると、仁美と徳さんが自分を見据えていた。
「都、どうしてあの時撃ったか、思い出しなさい」
「えっ?」
「翼を守ろうとしたんでしょ? あんたが撃たなきゃ、翼は死んでた。あんたは翼を守った。それで良いじゃない。自分で選んでこの仕事を始めたならね、いい娘ぶるのは止めな」
「……ハイ」


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