第一章 裏切りの朝-1
序
母のユウ子と、叔母の利江。
あんまり似てないなあと思いながら2人を見る。
シャボンのついたヘチマを潜り込ませる、逞しい毛をたっぷりと繁茂させた利江の股間。
顔を浴槽の淵へ乗せて、そこをじーっと見ていると、後ろから母の濡れた手が僕に目隠しをした。
母の胸の小さな先端が、僕の背中に押し当てられて潰れる。
生ぬくい湯の中で、馴れ馴れしく包み込まれるどこか煩わしい感触。
目隠しをされたまま口の中へ潜り込んで来る舌が、母のものでなく、叔母のそれであることは、そのニオイと舌の使い方でわかる。
僕はちゃぷんと手を湯船から出して前へと伸ばし、叔母の乳房に触れた。
スラリと細くスレンダーな母、ユウ子とは対象的に、叔母、利江は、その全身に年相応の脂肪を纏い、乳房もズッシリと大きく垂れていて乳輪も大きい。
お医者さんごっこの延長線で、早くからカラダを交わすことを平然と行っている母とは違い、利江は未だ恥ずかしがる。
二人がクスクスと笑った。
僕は泡に濡れた指で、叔母の太い乳頭を擦る。
それはすぐに硬くなった。
第一章 裏切りの朝
学校からの帰り道、自転車を押して登るいつもの坂。
公園と団地に挟まれた一本道は、蝉がうるさいくらい鳴いていて、僕は額の汗を脱ぐう。
胸ポケットに入れたケータイ電話がポロポロと鳴って、僕は足を止めたついでに確認をする。
液晶に並ぶ知らない番号。普段だったら出ないのに、何故かつい出てしまった。
知らない男の声が、叔母の名を言った。
すぐ来て欲しいという。「身元引受人?」
僕は電話を切ってパチンと折りたたむと、自転車のハンドルを勢い良く逆に切り、登って来た坂をまた下り始めた。
スーパーの暗く狭い事務室には、パイプ椅子に座った利江が、警備員の男と店の店長らしき男に取り囲まれて小さくなっていた。僕と顔を合わせると、『ごめん!』って感じで手を合わせ、ペロリと舌を出して見せた。
常習だったらしい。万引きGメンに捕まって、テレビみたいな一連のやり取りがあって、警察だけは勘弁してってことで身元引受人。
警備員もGメンも、まさか身元引受人に高校生が来るとは思ってなかったから呆れ返った。
随分時間もかかっちゃってるし、まあ反省してるってことだしってことで、おとがめなしで済んだ。
「ねぇねぇ、この事、姉さんやうちの旦那に言う?」
裏口から出された僕らは、制圧的に高く聳えるスーパーの、黒く汚れた壁伝いをスタスタと歩いた。
利江は僕の腕に腕を絡めて来て、媚びるような声で僕を見た。
肘にあたるやさしい弾力は、僕がそれまでに触れたことのない感触だった。