芽生え-1
いつからだろう。俺が江口に惹かれていったのは。狭い台所でやかんを火にかけながらふと考える。
女はみんな非・合理的な生き物だと思ってきた。
しかし江口は、「私と仕事、どっちが大事なの?」とヒステリーになることもなく素直だ。俺の言動に一喜一憂したり、ひねくれた所が一切ない。コロコロと変わる表情も飽きさせないし、少女特有の愛らしい仕草も男心をくすぐってくる。
あいつが来れば教官室の空気ががらっと変わって明るくなる。いつからか、俺はあいつが扉をノックするのを心待ちにしていた。
しかし、所詮は教師と生徒。都合の良い愛玩具として、江口は最適だったし、この背徳的な関係から抜け出せなくなってしまいそうと思っていても、心のどこかではいつかは終わらせねばならないとの思いに囚われていた。それは江口を本気で好きになり始めていたから…
あいつが教官室に来なくなって俺に抱かれない日でも、女の香りを漂わせていたのには驚いたとともに、激しく嫉妬してしまっていた。相手も江口を想っているとわかってからは、ひょっとしたらこの年頃の女は愛してくれる男を選ぶんじゃないかと、恥ずかしくも不安になったりもした。
ぴーーーーっ
やかんの湯が沸騰する音で意識を取り戻す。
こんな気だるい朝の風呂上りには、ブラックコーヒーが美味いだろう。
遅い朝ごはんの替わりのコーヒーを淹れて、俺はベッドに向かう。
そこには未だ夢の中の江口が安らかな寝息をたてている。
――――――
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!
「…ああぁ、あぁ…もぅだめ…んん…イッちゃう…あンっ!」
「っふ…あぁ、まだまだだぞ…ふんっ…」
くちゃくちゃになったシーツの上に、横向きに寝そべって、江口の片足を背後から持ち上げ、俺の欲望を挿入している。達した江口の膣が、波打つようにペニスを締め付けてくる。この子はもう何度達したのだろうか。
エクスタシーを感じているであろう江口は、深い快感の淵を行ったり来たりしているようで目はうつろだ。息は荒く、肩が大きく上下しているが、言葉を発することはない。
そして再び腰の動きを再開させたら、快感が彼女の意識を呼び起こし、またかすれた声で喘ぎはじめる、という状態がもう何時間も続いている。
くびれた腰を後ろからきつく抱きしめ、汗で濡れた肌にキスを降らせていく。
しばらく休めていた腰を、ゆるゆると揺らしはじめるとまた少しずつ、声を上げ始める。
「あぁ…あ、もう、許して…はぁっ」
行きも絶え絶えに請うのに答えず、ペニスを抜いて今度は彼女を四つん這いの体勢させる。
膝を立たせるのがやっとらしく、上半身はベッドに突っ伏している。
小さな電気をつけただけの薄暗い部屋の中に、小さくて形の良い尻が白く浮かび上がる。
二つの肉山を指で押し広げ、いきり立ったモノを一気に突き刺す。
「ああぁっ!!」
「…咲希…うっ、ほら、俺ので感じてるか?…咲希…」
「ああぁ、ひぃんっ、も、おかしく、なっちゃうぅ…!!」
部屋の中には、肌と肌がぶつかり合う音が響きわたる。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱん!!
じゅぷっ、じゅぷっ、ぴちゅ…
「ああああああぁぁっ、イッチャううううううっ!!!!」
「はあぁっ、くぅ…咲希…咲希っ!!」
そのままの体勢で俺たちはベッドに倒れこんだ。