ZERO-1 【プロローグ】 サササササ――…。 初めに聞こえてきたのはそんな音だった。 すえたような微かな土の香りが、風とともに頬をかすめて行く。 瞼を開く。と、そこには黄金色の麦。 抜けるような蒼い空と、浮かんでいる柔らかな白い雲。