ZERO-11
【5】…の前にお詫び。
お気付きの方も多いでしょう。第二話と第四話の離陸の場面でスピードが違います。すみません(―.―;)俺は本物のアホです。
ちなみに第四話が(たしか…)正しい方です。本当に申し訳ないです。二度とこんなことがないように気をつけます。では本編を。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【5】《初体験(?)〜その弐〜》
都の家を発って30分くらいだろうか。ちらほらと見えていた島々はなくなり、単調な景色が続く。
ヘッドホンから聞こえるのは楽しげな音楽……なら良いのに。
「グーー」
……聞こえるのは都のいびき…。
確かに昨日は話し込んでて寝るのは遅かったし、久しぶりに自分が操縦していない分リラックスするのは良いのだが、こっちまで眠くなってしまう…。
もちろんゼロ戦には自動操縦なんて付いてないから、居眠り=大惨事である。操縦を替わるのも無理な話だ。
「はぁ〜、辛い。はしゃいだ俺が馬鹿だった…」
何か考えでもしてようか。
まず北都に着いたら情報収集だ。整備士の香川って人が彼女のおじいさんが健在だった頃からの付き合いの様だから始めはその人に話を聴くかな…。
それにしたって雲を掴むような話だ。こっちじゃ別の世界があるらしいってのは都市伝説レベルの噂ではあるみたいだが、どうも上手く行きそうにない。
「一体俺はどうなるんだか…」
…ォォォ…ゴォォ……
「ん?」
どこからか別の飛行機の音が聞こえる。
見回すと左斜め上のほうに黒く二つの点があった。
「ふーん、つるんで飛んでるのか…」
ところが様子がおかしい。2機の内大きい方は真っ直ぐ飛んでいるのだが、もう一つの方が周りをうろちょろしている。
「何やってんだ?故障かな…」
どうやら大きい方はこっちを目指してるようだ。
「お〜い、都さん!起きてくれ。何かいるぞ」
「……ぁ、ぅん?私寝てたぁ」
「寝てたぁじゃなくて!ほら、後ろの方。様子がおかしいよ」
彼女はゴーグルをとって目をこすりながら後ろを見た。
「うぅん?………あ!ユウタロー旋回して!」
「雄飛だって…」
「そんなこといいから!早く!」
機体を傾け、左後ろに旋回した。
「何なんですかあれ?」
「空賊よ!襲われてるわ!」
「えぇ!?ち、ちょっと待った。巻き込まれてどうすんの!?」
「あんた軍人だべ?墜とすのさ」
墜とすって…。
「まままままさか!実戦なんて経験無いし、それに軍って言っても戦わない軍隊だし…」
「何あべこべな事言ってるのさ!」
自衛隊はあべこべな軍隊ですよ…。
とりあえず訓練を思い出そう。え〜とミサイルにセットして…ってあるわけない!落ち着け俺!!
おぼろげながら機種が見えてきた。おそらくP40(※アメリカの戦闘機)か、ヤク9(※ソ連の戦闘機)だろう。襲われてる方はよく分からないが輸送機のようだ。
「…あれはデーモンの子分ね」
「伝右衛門?」
「デーモン!この辺を仕切ってる悪党よ」
くそっ。やるしか無さそうだ。幸い空賊の方はまだこっちに気付いてない。距離は1000メートルほど。たぶん50メートルまで近付かなきゃ機銃は当たらないだろう。
こんな形で初実戦なんて……。
スロットルを全開にして急接近する。700メートルまで来た。空賊の方は輸送機の後ろにつけて今にも撃ちそうだ。
「だめだ。間に合わない!」
「大丈夫。ああやって脅して近くの島に着陸させるのが奴等の手口よ」
どうやらそうらしい。絶交の位置につけてるのに空賊の撃つ弾は輸送機からそれていく。
距離150まで来てやっと気付いたのか、奴は上昇反転して回避行動に出た。だがすでに手遅れだ。こっちはもうバッチリ捉えている。
機銃の発射ボタンに手を添えて、奴の機体に照準を合わせる。あわ喰った奴は腹をこっちに向けているからオレンジと黒の縞模様が見えるほど的が大きい。
――今だ!