告白-1
電車の中、橋本クンの腕の中で寝ていても、断続的に与えられる快感に意識を呼び起こされ、そのまま何度もイカされてしまう、という朝がもう3日ほど続いている。
橋本クンの責めは容赦なくて、電車を降りる時には腕を借りないとまともに歩けないということもあった。
学校に向かう道で、ふと橋本クンがつぶやく。
「いつもごめんな。こんなことして、相田に気付かれたりしてない?」
「ん〜…、最近は朝たまに廊下ですれ違うだけで喋ってないから。それに、このこと知ったとしても、多分先生は怒ったりしないと思う。」
「なんでだよ。普通は怒ると思うけど。」
「先生とは、付き合ってるとかそんなんじゃないから。私、フラれてるし…」
「…なんだよそれ。じゃあ、教官室でヤッてることって…」
「あぁ、ただの実験。…こんなの可笑しいよね。先生の近くにいたいって理由だけで、体の関係持つなんて。…私のこと、軽蔑した?」
「いや、そうじゃないけど…実験って?」
「いいの、橋本クンには関係ないから、心配しないで。」
私は不安な気持ちをかき消すように作り笑いを浮かべる。先生とのこんな関、常識で考えれば止めたほうがいいに決まってる。好きな人とセックスしていても、教師と生徒ってだけで罪深い行為をしているかのようだ。今の私はきっと汚い。
――――――
「橋本ー、お前最近江口といい感じだよなぁー付き合ってんのか?!」
「だから、そんなんじゃないんだって。」
最近、クラスのやつらからこんな感じで冷やかされることがある。それも仕方ない、ここ数日は連続で一緒に登下校しているから、それを見られているのだろう。やっぱり周りから見たら付き合っているように見えるよな…
実際、俺の江口に対する気持ちは日に日に大きくなっている。例の痴漢の時は相田の代わりにアイツを慰めているつもりだったけど、俺の指で感じている江口を見ると、自分だけのものにしたい思いが増していく。
それに付き合ってるわけじゃないのに体の関係を持つって…実験て、いったい何なんだよ。相田の存在がどれだけ大きいものなのかは分からないが、そんなのやっぱり異常だ。
相田が憎い。江口に想われていながら、ちゃんとつかまえておかないアイツが憎い。
そんなことばかり考えていたら放課後になっていた。今日も江口と一緒に帰る約束をしていたが、それまでまだ時間がある。
俺は委員の仕事を終わらせた後、アイツのいる教官室に向かった。