ありのままにそのままに-4
「さて、どうしたものか…」
王子は、結婚した後は、隣国の王様になるということになっていました。つまり、一人娘の王女へ婿養子としていくということです。王子は、自分が隣国へ婚礼の儀をあげに行く道中に逃げ出そうと計画しました。それには、家来の目を欺かねばなりません。
「さて困った…」
王子が自室で思い悩んでいると、そこへ魔術師が現れました。
「王子様、何かお困りのことでも…?」
王子は、話しても良いかどうか迷いましたが、結局話して協力してもらうことにしました。事情を知ると、魔術師は王子に尋ねました。
「王子様…もう引き留めても、無駄なのですか…?」
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王子は無言です。魔術師は溜息をついて言いました。
「解り申した。この私めがなんとかいたしましょう。しかし、王子様。この縁談が破談になれば、二国の間でまた戦争になるかもしれないのですぞ。それでも、行きたいと…?」
王子は頷きました。
「承知の上だ。…きっと我が儘なんだろう。でも、そう解っていても自由が欲しい。…すまない。」
「王子様の気持ちも痛い程によく解ります。王家に生まれるということは、すなわち檻の中で生きねばならぬということ。…貴方様はいつか檻を破ってしまうのではないかと、ずっと思っておりました。私が力になりましょう。」
王子は、深く、魔術師に頭を下げたのだった…。
つづく