投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

小春十三の怖い話
【ホラー その他小説】

小春十三の怖い話の最初へ 小春十三の怖い話 8 小春十三の怖い話 10 小春十三の怖い話の最後へ

その二 120°-4

**――**

「それじゃあ、最後の一枚は兵隊さんにどうぞ……」
 健一はそう言うと、最後の一枚をラップに包んで、居間の上座に置いて拝む。私も釣られて拝むことにする。
「……さ、これでおしまい。あとは兵隊さんが食べるから、僕らは邪魔しないように部屋を出よう」
「え? もういいの? お祓いとかは? なんかこう、十字切ってえいやーとか……」
「そんなの必要ないよ。兵隊さんは恥ずかしがりやだから、僕らが居たら食べられないよ。純ちゃんに見つかるのだって恥ずかしいんだしね」
 言われてみればそうかもしれない。絶えず視界の端にしか映らずにいたわけだしね。
 私はもう一度ピザを拝んだあと、健一に続いて部屋に行った。
 怖いとかじゃなくて、邪魔しちゃ悪いと思ったからだからね。
 うん。

**――**

 あくる日、居間にはラップが外された冷めたピザがあった。
 きっと食べる雰囲気だけで兵隊さんは帰っていったのだろう。
 もう視界の端には見えないし、私はほっと一息ついて、朝食の準備を始める。
 さすがに今回だけは健一のおかげで何とかなったしね……。
 うん、腕によりをかけて作ってあげようと思う……。

++――++

 やれやれ、純ちゃんは騙されやすいなぁ……。
 きっと見えたのは飛蚊症だと思う。夜更かしなんかするとよく見るし、棒みたいなのが見える。余計な話をしちゃったのと、夜に怖い話を見たのが原因かな……。
 こういうときって下手に理屈で説明するよりも、むしろ踏み込んで除霊の真似事したほうが丸く収まる。イワシの頭も心神からってことでね……。
 ……でも、結構大きくなったなぁ……。昔はぺったんこだったのに、あんなになって……。ま、役得ってことでね……。


小春十三の怖い話の最初へ 小春十三の怖い話 8 小春十三の怖い話 10 小春十三の怖い話の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前