秘密-1
江口が、どんどん女になっていく。初めてアイツを抱いたとき、頬を赤らめて潤んだ瞳でこちらを見たとき、その色気にはっとさせられたのを覚えている。回数を重ねるたびに、アイツはどんどん濡れやすく、またイキやすい体になっていっている。
それに、あの匂い・・・体が火照っていくにつれて強くなっていく甘い香り。まるで理性を溶かしていく媚薬のような、男を狂わす香りだ。本人には自覚がないようだが、その香りでこれからアイツは男たちを惑わせ、さらなる快感の深みへとはまっていく。・・・まったく末恐ろしいオンナだ。
――――――
先生との初実験を成功させてからも、私たちはことあるごとに体を重ねた。
もちろん、「実験」という名目のもとで、なんだけど・・・・・・
今先生と取り組んでいる実験は、「四十八手、どれが一番高い快感を得られるか」というもので、今は15個の体位を検証し終わった段階。まだ半分も残ってると考えると気が遠くなりそうだけど、先生に知らないことを教わる課外授業はやっぱり楽しくて・・・最近では先生に呼ばれなくても教官室に出向いたりもする。
今のところ、先生が気に入っている体位は、「鵯(ひよどり)越え」というもので、いわゆる後背位というものらしい。確かに私も、後ろから犯されているような気分になって興奮するし、ビデオの中では、重力で胸が大きく見えて、それがゆさゆさ揺れてかなりえっちな感じだ。
そういえば、先生に言われてブラのサイズを変えてから、だんだん胸が大きくなってきている気がする・・・少し前にDカップに変えたばかりなのに、もうそろそろキツくなってきたかも。・・・先生にたくさん揉まれたから?
大きくなってるの、先生も気づいてるかな?そもそも先生は私に興味あるの?ただの実験対象としか見られていない気がする・・・最初に、女は嫌いだみたいなこと言ってたし・・・ていうか、私が「付き合って、なんて言いませんから」って言っちゃったんだっけ。
ぅう・・・考え始めたらキリが無いや。勉強しなきゃっ、勉強。
私は最近眠る時間を惜しんで勉強している。今度控えているテストの成績が下がったら、先生にもう来るなって言われそうで・・・
「よう、江口。」
「あぁ、橋本クン」
机であれこれ考えてたら橋本クンが声をかけてきた。
橋本クンというのは、いつも本を読んでいる好青年といったような雰囲気の男の子。本好きといってもオタクのような雰囲気はまったくなく、友達も多くて、サッカーの人数足りないから頼む!と言われると、「仕方ないなぁ〜」と本をぱたん、と閉じてサッカーも難なくプレーしてみせるというような奇跡の草食系メガネ男子だ。橋本クンが女子と話しているのはあまり見かけないけど、密かな橋本ファンは多い。
橋本クンは図書委員で、同じく本が好きな私によく情報を提供してくれる。一年生のころからずっとクラスが一緒だったせいか、なぜか唯一橋本クンとは普通に話すことができちゃう。
「いつものヤツ、手に入ったよ!」
「ありがとう、じゃあ放課後すぐに行くね!」
私は科学雑誌を読むのが好きで、それを知ってくれている橋本クンは、たまにどこからか古くなった雑誌を手に入れてくれる。
「にしてもよくあんな雑誌読めるな。俺だったら理科嫌いだから目次だけでお手上げ。」
「そう?読んでみたら結構おもしろいわよ??」
そうは言ってみるものの、少しでも先生に近づきたいから、なんて恥ずかしい本当の理由は言えたものじゃない。