秘密-5
窓枠に手を突き、江口の後ろに回り、体全体で包み込むようにして立つ。そして彼女の首筋に顔を寄せる。
そうだった、昨日もこの香りを嗅いでからダメになったんだったな。俺は、自分の中で汚い欲望が再び頭をもたげ始めるのを、もう止められなかった。
片手で、学生服の中から、もうすっかり熱くなった欲望を取り出す。江口の安らかな寝息に合わせて、右手でしごく。またあの声が、江口の甘い声が思い出される。
『……やぁんっ』
江口の声は俺をさらに熱く、堅くさせる。先端からはもう透明な汁が溢れ出ている。もう長くはもたないな。江口に触れてしまわないように注意を払いながら、手の動きを早める。
「…んはっ、んん、…んぐっ」
「むにゃ…」
その時、江口が薄っすらと目を開けながら頭を起こした。こんな汚い姿を彼女に見せるわけにはいかない…左腕で彼女の頭を後ろから抱え込むようにして目を塞いだ。
がばっ!「んん〜…えっ!?なにっ?」
「………だ〜れだ。」
「誰って…橋本クン、でしょ。」
「……。」
「…え、橋本クン、だよね?橋本クン?」
もう少し、もう少しだからそのままその声で俺の名前を…
「ねぇ…橋本クン??」
「…っあ、江口―っ」
どぴゅっ、どぴゅ… 熱い欲望を、彼女の足からわずか10センチの壁にぶちまけて、慌ててモノを学生服の中に収めた。
「あ、あぁ、ご、ごめん、正解正解!俺でしたぁ!!」
「何よぉ、いきなり。変なの!…って、なんか顔赤いけど、大丈夫っ!?」
「あっ、そ、それがよぉ、風邪引いちまったみたいだから、江口も早く帰らないと風邪うつるぜ?」
「そうなのっ?熱とかは―」
「それはマジで大丈夫だからさっ、ほい、これ、雑誌持って、じゃあ今日はもう帰りな!」
「あっ、ちょっと―」
彼女を強引に倉庫から追い出すと、力が抜けてそのまま座り込んだ。
心臓がバクバクしてる…今どき「だ〜れだ」なんて言わねぇよなぁ。絶対変なヤツとか思われてるよ、俺――。