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『魔人』と『女聖騎士』
【ファンタジー 官能小説】

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第三話〔続〕――死神と炎人と帝国の黒歴史-28

「あのとき、すでに俺はマスター・ハインツとは別枠での地位をギルド内で形成していたからな、その対象にはならなかった。けれど、俺にはあの人に恩義がある。だから、その犯人を捜すためにギルドの推薦を受け、軍部へと移籍した」



「それで、その犯人は見つかったのか?」



「いいや。マスターを殺した実行部隊は全滅していた。どうやら、あのギルドの盗賊に返り討ちにあったらしい。まあ、だから、俺は方針を転換した。いくら稀少品だといっても、軍部がギルドに刃を向けるってのは尋常じゃない。それで、その盗品の行方を捜した」



「だが、それは当時の工作班も調べたんじゃないのか?それでも、見つからなかった」



「それはやつらの無能さの露呈よ。確かにギルドと関わりのある好事家や問屋、港運屋なんかを当たってみても見つからなかった。けどな、もしソレが帝国軍部を躍起にさせるほどの代物だってんだったら十中八九、魔導具だ。んでもって、バインツ・ベイで魔導具を売るなら恰好の顧客がいるだろ?それこそ、仲介を挟む必要もないくらい身近に――」



フェルナンの言葉に、アルフォンシーヌは呆然とその答えを呟いた。



「……『賢者の律令』か」



「ご名答。それで、あれだけ軍部が動いても見つからなかったってことは当人同士での売買だったはずだと踏んでな、マスター・ハインツと同時期に接触のあった『賢者の律令』の導師級以上の魔導師を捜した。元生徒ってこともあって、存外、楽な仕事だったよ。それで、その顧客――誰だったと思う?」



「誰?わたしの知っている相手なのか?」



首を傾げるとフェルナンが大きく頷いた。

魔導学院『賢者の律令』と言っても、実態は高名な導師ひとりの教室で延々と学ぶだけであり、つまり、自分が知っている導師の数もたかがしれている。

教師であったリーズロッテとその夫であるベルゼル、そして準導師時代に教わった数人の導師が精々であった。

そこで、端と気づく。




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