第三話〔続〕――死神と炎人と帝国の黒歴史-24
「ど、どうするっ?」
自身でも驚くほど動揺した声を出してしまったアルフォンシーヌ。
だが、敵――だという男たちは、軽く百人はいるのだ。仕様のないことである。
なのにフェルナンは「たははっ」と余裕に笑った。
「アルフォンシーヌ・ゴーン。きみは、俺を信用していないだろう?」
「とっ――当然だ」
詰まりながらも返したアルフォンシーヌ。
「だが、ここで決断をしてくれ。俺に最低限の信用をおいて、そのうら若き御身に手を触れることを許してくれるか――」
「おんみ……?」
フェルナンが階下を指し示し、続けた。
「あの男たちに捉えられ、さっきの続きをされるか」
「っ――」
耳を澄ませば、もうすぐそこまで奴らは迫っている。
アルフォンシーヌはわずかな逡巡の後、フェルナンへ頷いた。
「……わかった。信用しよう。――最低限は、な」
「たははっ。それは光栄。では、失礼ながら」
「えっ?……っと、うわあ!」
アルフォンシーヌは悲鳴を上げた。
けれど、突然、しゃがんだかと思えば抱きかかえられたのだ。悲鳴くらいはあげる。
男性耐性のを低さを見くびるな?
――しかも右手は膝の裏、左手は肩から脇を通してと、所謂『お姫様だっこ』なのだから、その悲鳴もひとおしだ。