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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ポートセルミ編 その一 アルマ-8

「アルマさんがドルトン親方に用があるなんて知らなかったから……。それに、ここに親方がいるなんて……。そうだ、親方はいつからここに?」
「うむ? ああ、そうさな。一時は山奥の村で兄貴の世話になっていたんだけど、アイツとは創作の方向性が違うからな。ちくちく編み物なんてちまちましたことやってられねえっての。やっぱり俺は炎を前にしてとんてんかんこんやってるほうが性に合うわけ。それに仕事道具ほっぽりだしとくのも悪いし、戻ってきたわけさ」
「へぇ……」
「んで、パパスさんはどうした? なんか色々変な噂があったけど……」
「ええ、父はその……、亡くなりました……」
「「ええ!?」」
 リョカの言葉に二人は声を揃える。
「僕らを助けるために……」
 パパスの死はラインハットでの政変に関わるものであり、リョカ自身、旅人でしかない父がそれに巻き込まれたのか理解できずにおり、下手に話すことができない理由がある。
「そうだったの……」
「ふむ、パパス殿が……、惜しいことを……」
 口ごもりをしたことを「辛い記憶を話したくない」と解釈してくれたらしい二人に、リョカは詳しい経緯を省く。
「ええ、今は父さんの遺言でサラボナに届け物をする必要があります。そうしたら一度、父さんが住んでいた国に行こうかと思いまして……」
「そうね。そういうのは大切よ。うん……」
「うむ。リョカ君も立派な青年になってるし、こんな綺麗な嫁さん連れてんだ。パパス殿だって浮かばれるさ」
「嫁?」
「あ、あの、僕とアルマさんは……」
 ドルトンの勘違いにアルマとリョカは真っ赤になって聞き返す。
「違うのかい? てっきり……」
「違いますわ。リョカは私のただのボディーガード。そうね、専属で雇ってあげてもいいけど……」
 ちらりとリョカを見るアルマに、リョカは頭を掻く。
「それはちょっと……」
「なによ。不満でもあるっての?」
「ええと……」
 問い詰められると押し切られそうな雰囲気のあるアルマ。美人で優雅な彼女を伴侶と間違われるのは男の自尊心をくすぐるものがある。けれど、リョカも自分がそれに不釣合いと自覚している。用心棒、庸兵のような流れの旅人と女社長。あきらかに住む世界が違うのだ。
「それよりアルマさん。親方に用事というのは……」
「あ、そうだ!」
 その言葉にアルマはぱんと手を合わせ、ドルトンに向き直る。
「ドルトン親方、わたくし、アルマールジュエル社長のアルマと申します。この度は親方の腕を見込みまして、ガラス細工のデザインをお願いしたくて……」
「ガラス細工? あんたんとこ、ジュエルってんだから宝石じゃないの?」
「ええ。ですが、最近お得意様から注文が入りまして、夏に相応しい涼しげな花瓶を所望されましたの。私も商売がら信用第一、とびきりの一級品こそ提示したいと思い、色々腕の立つ職人を探しておりました。そんな折、山奥の村で小さいながらとても精巧なガラスの花瓶を見つけましたわ。ガラスに色をつける技法はいくらもありますが、その濃淡をつけるのは作家の息遣いが成せる技。藍よりいでし青が徐々に夕日のような橙へと変わる様はまさに天才、神の領域でした。それを作ったのはかの天才織人ヅルトンの弟、天才鋳職人ドルトンと聞き、私、居ても立っても居られず、こうしてサラボナの地より参りましたの……」
「よせやい、天才なんて……」
 アルマの長口上に気を良くしたらしく、ドルトンは胸をはるどころか仰け反りながら照れ笑いをする。
「きっとドルトン親方様ならば、どんな目の肥えた鑑定士でも価値を付けられない、そんな至高の一品を作りえるでしょう。どうか、お力を……」
 ふかぶかとお辞儀するアルマに、リョカも雰囲気に呑まれてお辞儀する。


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