不妊外来へようこそ-8
――――――
何度も何度も、気が遠くなるほどイかされた私は、治療が終わったころには完全に足腰が立たなくなっていた。
まだ顔の火照り、体の疼きが引かない私を車椅子に乗せて、
「今日はもう診察終わりだから、」
と先生は言い、車椅子を押しながら一緒に診察室を出た。
先生は何事も無かったかのように、最初のころみたいに、サラリと白衣を着こなしていた。
「僕、患者さんタクシーまでお連れするから。」
………………
「…二条さん、よく頑張ったね」
先生は私を担いでタクシーに乗せたあと、言った。
「今日は子宮口開きっぱなしだから、一発でデキちゃうと思うよ。…まぁ、だめだったらまたいつでも。」
「―本当にありがとうございました。」
「それじゃ」
私は産婦人科を後にした。
その頃――
「先生ったら、自分のタイプの患者さん来たら、つい張り切っちゃうのよねぇ」
「うんうん、今日だって、最後の彼女、車椅子だったんだから!」
「ぃやーねぇ!!」
噂好きの受付や掃除のおばさん達の間で、そんな話が飛び交っていた。
――――――
「ぁんっ、あぁ、凄いっ、一緒にイこ…?」
「っつ、美咲、今日はいつもより、締まるっ…」
美咲は、疼いた体を抑えきれず、旦那の上に跨っていた。
「あん!っひゃぁっ、んっ…」
目を瞑って長い髪の毛を振り乱す―
美咲の頭の中では、自分が藤堂に激しく突かれているのを想像していた。
「んっ…、ぃや、イっちゃうぅっ!!!!!!」
プシャァっっ、…どぴゅっ…ぴゅ…
「激しすぎて、抜けちまったなァ」
笑いながら旦那が下から胸を揉んできた。
「…だって、気持ち良かったんだもんっ…」
(あなた…ごめんね…)
私はイく瞬間、わざと大きく弾んで意図的にペニスを抜いた。
今、妊娠するわけにはいかないのだ。
妊娠してしまったらもう二度と、不妊外来に行けなくなってしまうのだから…
―終わり―