雨宿りの恋人たち-1
「ユミ、まだかよ〜、遅っせえぞ!」
「もう少し待ってよぉ〜…」
ここは校舎の片隅にある、人気の少ないトイレ。入り口では、付き合いはじめて半年の彼氏、カズキが私を急かしている。
付き合って2週間で初エッチを済ませて以来、カズキの部活が休みの日はほとんど体を重ねている。
なんでも、
「マンネリなエッチなんか、エッチじゃない」
というカズキの変な理論で、いつもおかしなプレイに付き合わされている。
この前なんて、わざわざ痴漢プレイするためだけに満員電車に乗ったっけ…まぁ、毎回新鮮で気持ちよくって、私はいつもイカされちゃうんだけど。
いつもなら今日みたいに何もない日はどっちかの部屋かホテルに行ってる所だけど、今週はテスト期間だから真面目に勉強しなきゃなのだ。
せめて、帰りながらスリルを味わいたい!なんて言い出すカズキの、下着を脱いで制服だけで帰ろうとゆう提案に付き合うことにしたのだ。
「おまたせ〜…」
「なんで腕で隠してんの?それにいつもよりスカート長げぇ…」
「胸、透けちゃってない?スカートも、ヒラヒラして怖いもん!」
「別にいいじゃん。ちょっとくらい透けてんのも、サービスサービス!」
そう言って、私の腕を強引に剥がした。
「あれ、案外透けてねぇな。つまんねー」
ブレザーの冬服と違って、夏服はただのワイシャツだから不安だったけど…私の考えすぎだったみたい。
「つまんなくない!早く帰るわよっ」
私たちは並んで歩きだした。
風が吹く度に「うわぁっ」とか言って騒いでいる私を、カズキはニヤニヤしながら眺めている。
「期待しないでよねっ、ハプニングなんか起きないわよっ!」
私が、そう言った瞬間、
ゴロゴロゴロ……
雲行きがかなり、怪しくなってきた。
ポツ、ポツッ―――
見事なタイミングで、大粒の雨が落ちてきた。