雨宿りの恋人たち-2
「嘘でしょ…」
「俺の神様ぁっ!」とカズキは大袈裟に空に手を広げ叫んだ。
「ちょっと、私の荷物持ちなさいよね!」
私はカズキに荷物を押しつけ、濡れては行けない箇所を腕で隠して――二人は雨宿りできる場所を探して必死に走った。
走っている間にも雨足は強くなって行く。
全身がびしょ濡れになった。スカートは雨を吸って、逆に風にはなびかなくなったけど…ワイシャツは最悪だ。絶対に手をどかすわけには行かない。
……てゆうか、走ると乳首がシャツにこすれてツラい…
「カズキぃ…はぁっ、ちょっとタイム…」
腕を抱えながら、私はたまらずしゃがみこんだ。
「なんだぁ!?これだけで疲れちまったのかよっ!?」
「そんなんじゃないもん!」
仕方ねぇなぁーとか言いながら、カズキは私をおんぶしてくれた。
いつも強がっちゃうけど、カズキは優しくて、ちょっとおバカさんで、無邪気で、大好きなんだ。
カズキの広い背中も大好き。野球で鍛えられた筋肉や、肩甲骨が浮かび上がった男らしい背中…
「あの商店の前まで走るぞー」
カズキは300メートルほど先にある商店の軒先目掛けて走りだした。
「ぁんっ、もぉ、ゆっくり走ってよぉっ…んっ」
今の私にとっておんぶは逆効果だったみたい…
肩甲骨に乳首がコリコリってなるよぉっ…
それに、クリ○リスだって、走るたびにカズキのベルトに当たって…
「ぃゃあっ…もっと、…そっと走ってぇっ!」
カズキは私の声を聞いて、何が起きてるか悟ったようだ。
「はい、到着〜」
「はぁ〜…」
シャッターのおりた商店の前に、やっとこさ着いて、カズキの背中から解放された。
「濡れたらさすがに透け透けだよな…見せて」
「…いやよっ!」
即座に断ると、ちぇっーなんて言いながら拗ねたふりをする。
「でも…このままじゃ電車乗れねーから、ホテルに制服乾かしに行こーぜ」
「…もぅっ///」
むちゃくちゃな理由だが、カズキに可愛く上目づかいで提案されると断れない。
ホテルの中に入ると、ダンっとドアに強く押しつけられた。