優しさに包まれて-6
ー・・・この人を、知ってしまったら・・・もう、離したくない。
「時間・・・かかるよ?」
「いいよ」
「色々、これから大変だよ?」
「いいよ」
「私、こう見えても面倒くさい女だよ?」
「いいよ」
「それからー・・・」
「千鶴となら、どんな困難があったっていいよ。それより、千鶴がいない方が耐えられない・・・」
千鶴は、言葉の代わりに野崎の胸に飛び込んだ。
固く、固く抱き合ってキスをする。
千鶴の、涙が混じって塩っ辛いキスだった。
これから、どうなるのか誰にも分からない。
ただ、千鶴に分かるのは・・・もう、この人からは離れられないという事実だけだった・・・。