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先生の観察日記
【学園物 官能小説】

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はじまり-2

―――――――
いつの間にか私は、夢の中にいた。
夢と言っても、先生がパソコンに向かって仕事をしているのを近くで見ている夢だ。まるで幽体離脱でもしているかのように。
眼鏡の中から、一重で切れ長の真剣な瞳が画面の文字を追っている。この瞳で私だけをみてくれる時がくるだろうか。
この節ばった細い、繊細な指で私に触れてくれるだろうか。
その薄い唇で・・・
―――――――

「先生、好き―」
あれ、寝ちゃったんだ・・・私は自分の寝言で目覚めた。

「江口?まだいたのか」
「っっっ先生っ!!?」
やだ、まさか今の聞かれた?
「もう暗くなり始めてるぞ、帰らないのか?」
よかった、先生普通だ。聞かれてなかったみたい。
「先生が帰れって言うまでは、ここで勉強してます。」
「何言ってんだ、寝てたくせに。寝言も言ってたぞお前。」
「えっ・・・あの、私、なんて・・・」
「先生、好きって。」
「うそ―――」

――――――
パソコンで仕事を終わらせると、もう日が傾きはじめていた。
「暗いな」
まだいつも書かなくてはならない教員日誌を書かなければならなかったから、電気をつけようと立ち上がったとき、扉の下から灯りが漏れてきているのが見えた。
「江口、あいつまだいるのか?」
扉を開けると、いつもは勉強してる江口が机に突っ伏して寝ていた。

俺にはよく女のことは分からなかったが、男子生徒と世間話をしていたときに江口の話題が出てきたことがある。可愛いけど、なかなか目も合わせてくれないらしい。清楚で、はかなげで、さらさらのロングヘアからはいつもいい匂いがして、「すっげーたまらねぇ!」らしい。髪の匂いはシャンプーに含まれている香料のせいだ、と答えてそいつらに先生つまんねーとか言われたりした。

俺は何の気なしに、寝ている江口の側まで歩み寄って、その寝顔を観察してみた。
色は白くて、鼻筋も通っている。唇は俺のものとは違って血色がよく、ぷるりと潤っていた。
おそらく、リップクリームたるものを使用しているに違いない。最近の女子は巧妙に化粧をするものだが、江口に限ってはリップだしかほどこされたいないように思える。
腕も肩も、全てが男のものより細い。
遺伝子の違いは偉大だな。と結論づけて、俺は部屋に戻ろうとそのまま江口から離れた。

「先生、好き―」
声がしたので、びっくりして振り返って見ると、むっくりと寝ぼけ眼の江口が起き上がった。

「うそ―――」
なぜか俺に寝言を聞かれて、酷く驚いたらしいので、さすがにその「先生」が自分のことであるような気がした。
「俺に好意を抱いているのか?」
「ちちち、違いますよ!ななな、何言っちゃってるんですか先生!」
「もしそうなら、やめとけよ。」
「え・・・先生・・・」
「女というものは合理的でない生き物だ。俺のデータがまったく通用しない。」
「先生、あの噂は本当だったんですね、可愛い女の子を振ったていう」
「まず、教師が生徒と親しい仲になってはいけないという決まりがあるし、そもそも女に興味がない。」
「大丈夫です、私、付き合って、なんて言いませんから。」
「わかれば、よろしい。じゃ。」
そう言い残して俺は再び教官室に戻ろうと思ったが、ある考えが出てきた。


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