四日目-6
「……ん」
ん?
「…くん、秀君」
全く働く気のない脳みそを少しだけ動かして、呼ぶ声の主を考えた。
この呼び方は、みのりさん…
「…さん?」
今のグロッキーな状態では声に出せるのはせいぜいそんなもの。
「…」
いや、これはまた夢か。
みのりさんが俺の部屋の中に、それもベッドの脇になんているわけがない。
今が何時だか知らないけど、帰ってくるのが早すぎる。
みのりさんの顔が俺を心配そうに見てる。手が、俺に向かって伸びてくる。
反射的にその腕を掴んで抱き寄せた。
柔らかくて程々に重みがあって、極上の抱きまくらみたいだ。
あぁ〜、俺この感触…
「…大好き」
その抱き心地の良さと熱で頭の中がふわふわしてるので、開きかけた瞼はまた重く閉じられた。
*****
え?
何これ。
ここは秀君の部屋。
そこで、それで…
あたし、今、抱きしめられてますが――…
《つづく》