四日目-5
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『秀君』
呼ばれて起き上がると、そこには浴衣姿のみのりさんがいた。
みのりさん?
会社行ったんじゃ…
いや、俺の所に来てくれた。デートの続きをしてくれるの?ってことはあいつとは別れ――…
『ごめんね、秀君』
へ?
『あたし、やっぱり』
いつの間に来たのか、みのりさんの隣にはあいつがいる。
『彼のこと…』
…嘘でしょ?
だってそいつはみのりさんを騙してたんだよ?
『うん、でも』
でも?
『あなただって嘘つきじゃない』
「ああぁあぁっ」
目を開けると、そこはいつものリビングだった。
つけっぱなしのテレビにエアコン、飲み残したジュースにお菓子のゴミ。
当然誰もいない。
夢…
なんつーリアルな夢だ。
もう、リアルすぎて吐きそ…
「…あ?」
上手く立てなくてソファから転げ落ちた。
「?」
視界が回ってる。
立とうとすると足元がふわふわする。
あれ?
額に手を当ててみると、いつもより熱い。
熱ある?
「マジか…」
まぁ、栄養も取らずにエアコンのついた部屋でへそ出して寝てりゃ体調も悪くなるわな。
「今、何時…」
時計は昼の12:00を少しまわってる。寝たのが明け方だから、そこそこ睡眠と休養はとってたのにな。
吐き気はリアルな夢のせいじゃなくて本当に気持ちが悪いからか。
「寒…っ」
リビング内のつけっぱなしになってた全てのスイッチを切って、ふらふらの足取りで階段を上って自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。
暑い…、けど寒い。
とりあえず窓だけ開けて…
昼過ぎだから、みのりさんはもちろん出勤後。カーテンも窓もきっちり閉まってる。
仕事終わりにあいつと会うってことは、その分帰りも遅いってことだよな。
早く帰ってきてほしい。
ちゃんとあいつと別れてくれますように。それから――…
自分が弱ってるからこんなに思うのかな。
早く会いたい。
早く帰ってきて。
そしたら俺謝るから。
嘘ついてたこと正直に話すよ。
ちゃんと気持ちも伝える。
だから、お願いだから帰ってきて――…