二人の満員電車-1
「・・・あの路線、痴漢出るらしいよ〜」
「え〜!?ウッソ〜!」
「本当だって!A組で、やられちゃった子いるんだって!」
「怖いね・・・」
そんな話をクラスメイトとしながら、友里は
『どうせ尾ひれついて話大きくなったんでしょ』と思いながら聞いてた。
それに・・・自分には関係のない話だと思ってた。
あの時までは・・・。
山崎 友里。高校2年生の17歳。
中背中肉、これといって特徴もない、平凡な女子高生。
学校へは、例の痴漢が出るという噂の路線を使って通学していた。
でも・・・痴漢だって人を選ぶだろうし。
こんな特徴もない自分を狙う痴漢がいるとも思えなかったので、
噂を聞いても変わらずに同じ路線を使っていた。