二人の満員電車-15
「やっぱ・・・ダメ、かな」
「うっ・・・!ううん、ダメじゃない・・・!」
思わず、大きな声を出してしまった。
「わ、私も、ずっと安藤くんが・・・好き」
言ってしまってから、恥ずかしくなって友里は手で顔を覆った。
「じゃあ・・・」
安藤の顔がぱあっと輝く。
友里は、ぶんぶんと頭を縦に振るしか出来なかった。
「やったあ!!」
安藤はそのまま友里を抱きしめた。
「ちょっ・・・!安藤くんっ・・・!」
嬉しくないわけじゃなかったけど、ここは通学路。
同じ高校の生徒が大勢二人を見ていた。
「あ・・・ごめん」
安藤は周りの目に気がついたらしく、友里から離れた。
ジワ、ジワと体温が上がる。
もうじき、夏が来る・・・。
「安藤くん」
「ん?」
「・・・海、行こうね」
今年の夏は、きっといつもと違う夏になる。
確信にも似た思いを友里は抱いていた。