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南の島にて
【その他 官能小説】

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南の島にて-3

不倫だった…


いや、私は不倫だとは微塵も思ってはいなかった。ただ、その人を好きになっただけだと今でも
思っている。不倫と言う言葉が、私にはよく理解できなかった。相手に妻がいてもいなくても、
私には関係のないことだと思っていた。


広めのバスルームの中の大きな窓ガラスからは、どこまでも広がる海を眺めることができた。
私は、ゆったりとしたバスルームの壁の鏡に映った自分の裸にふと見入る。

うっすらとした乳白色の脂肪がつき始めた鏡の中の女は、噎せるような熟れたからだを浮かび上
がらせていた。私は、その鏡の中の蒼い裸体が自分のからだであって、自分のものでないような
気がした。
肌の輝きがいつのまにか消え、息を殺したような渇いた肌が、ただ褪せていくのをじっと待って
いるようだった。ただ、白い腿の付け根の陰毛だけが、以前より息づくような濃さを増していた。


肩にかかるほど伸ばした髪型を、私は気に入っている。

…いいんじゃないか、その髪…以前の君より、もっとかわいいぜ…と、恋人にベッドの中で抱か
れながらが、そう言われたことがあったことを思い出す。


かわいい女…綺麗でも、美しいでもなく…やっぱり、私はかわいい女なのだ。


鏡の中の私の裸身の輪郭が、ぼんやりと崩れているような気がした。昔から豊かすぎるほどの胸
は、はっきりと弛みを持ち始めていた。腰と下腹にはほんのりと余分な肌肉がつき始めている。

いつのまにか歳をとった私の裸には、もう若い頃の瑞々しさがすっかり影を潜め、蕩けるような
いやらしい脂肪だけが滲み出している。


浜辺で出会った男の子を、ふと思ったとき、かすかなため息が洩れる。とりとめもないわずかな
彼との時間が、なぜか私の中の過去をゆりうごかす。

そして、自分の肌の渇きを掌で確かめるように、私は白すぎる乳房を掌で包み込む。ねっとりと
した肉づきのいい乳房の膨らみの先端で、色褪せ始めた乳首だけが、欲情したようにそそり立っ
ている。丸みを帯びた乳首を指でなぞると、わずかに堅くなってくる。

そして白い太腿の付け根の繊毛に指を這わせ、肉の重ね目に沿って指をゆっくりと蠢かせると、
私のからだの中に、どこかうっとりとした淫らな潤みだけが、ひたひたと音もなく広がるよう
だった。



次の日の夕方、私は、海岸でふたたび出会った男の子と、気が遠くなるような眩しい口づけを
交わした。そして、彼をベッドに誘った…。

欲しかった…

私は、青く冴え冴えとした憧れの空に吸い込まれるように、どうしても男の子のからだが欲しく
なったのだ。



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