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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その六 別れ-9

 ――リョカよ。この手紙を見ているということは、私は既にこの世に居ないということだろう。
 もし、父さんが志半ばにして倒れたのであれば、それは赦してほしい。
 お前には話していなかったが、私が世界を旅していたのは、お前の母、マーサを捜すためだ。
 マーサはエルヘブン地方に住む少数民族の巫女で、ある不思議な力を持っていた。
 その不思議な力を求めてか、マーサは魔物に狙われていた。
 あれはお前が三歳になったころだ。
 月明かりの綺麗な夜、マーサは一人バルコニーから忽然と姿を消した。
 あるいはマーサもまた、その運命を受け入れたのかもしれない。
 だが、私には到底納得できることではない。
 私は身分を捨て、旅に出ることにした。全てはお前とマーサの三人で暮らすために。
 きっと私が倒れる中、お前に妻を捜すよう頼むかもしれない。
 だが、なんの手がかりもなく、それをすることは困難だろう。
 そして、お前の人生を私が壊すことは憚られる。
 お前の人生はお前のものだ。
 どうか、自分のために生きてほしい。
 全ては私がそうしたことが故に起きたことなのだから。
 だが、これだけはお願いしたい。
 私が旅の途中に見つけた、不思議な剣をサラボナのルドマン・ゴルドスミスに届けてほしい。
 以前船で一緒になった富豪だ。
 パパス・グランバニアと名乗れば取り次いでくれるだろう。

 くれぐれも父の二の舞になるな。
 私の愛するリョカへ……。

「これって……、父さんの手紙? 僕に僕の人生を生きろって……」
「エルヘブン地方は謎に包まれているが、グランバニアからは航路があるのか……」
「この剣って、もしかして……」
 三者三様、ばらばらな感想を抱くが、一番の疑問は、何故それがここにあり、マリアがいないのかということ。
「ちょっとあんた達! ここはリョカさんの家だよ! 今旦那は留守にしてるんだから、勝手に入っちゃだめだよ」
 入り口のほうからがなり立てる女性の声がした。彼女はリョカを見ると、目を丸くした様子で手を叩く。
「あ、おばさん、お久しぶりです。戻ってまいりました」
 リョカは階下のおばさんの声にはっとなり、挨拶に出向く。
「あらあら、なにしてるのかと思えばこのトウヘンボク。マリアちゃん、あんたがもたもたしてるから出家しちゃったじゃないのさ!」
「出家? まさか、光の教団に?」
「光? 違う違う、あんな胡散臭いところじゃなくて、海辺の修道院よ! もう……、なんだってあんなイイコ、お嫁にしないのさ……」
「ま、まて、出家しただと? マリアが、どうしてだ?」
 驚きを隠せないヘンリーは階下のおばさんに詰め寄る。
「まあ、いい男じゃないの。マリアちゃん、結構彼氏いるんだね」
 にやにやと笑うおばさんは冗談もそこそこに、エプロンのポケットから一枚の紙を取り出す。
「これリョカさんに渡すように頼まれてたけどね、まあ、封筒に入ってないからあたしもつい読んじゃったけど、あんた本当に罪な男だね……」
「か、貸せ!」
 ヘンリーはそれを奪い取ると、ざっと目を通す。
「……」
 そして紙を落とすと、エマに向き直る。
「おい、今すぐ俺を修道院に連れて行け。頼む! 急ぐんだ!」
「え、ええ、いいけど……」
 エマはその焦燥ぶりに気圧され、彼と共に部屋を出る。
 リョカはヘンリーの落とした紙を拾い上げ、目を通す。


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