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ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
【二次創作 官能小説】

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ラインハット編 その六 別れ-8

**――**

 久しぶりのオラクルベリー。東国の平定の噂はここへも伝わっており、橋を建てなおすべきか否か、街で投票が行われていた。
「……オラクルベリーか、できればここも手に入れておきたいのだが、そうもいかないからな……」
「ヘンリー、さすがにそれはどうかと思うよ」
 物騒な話にリョカは苦笑いを返すしかなかった。
 東国の平定が終ったとはいえ、それはあくまでも国境での話。今後しばらくは国内政治の安定に努める必要がある。今しがた執務室ではケイン老とオットーがてんやわんやになっている頃だろう。
「冗談だ。それより、リョカ。お前はどうする?」
「僕は……」
「母……か?」
「うん」
「そうだな。パパス殿との約束だからな。だが、何か手がかりはあるのか?」
「それは……その……」
「今の俺、ラインハット国の王となる俺なら、その力になれると思うぞ?」
 昨日のエマの言葉が蘇る。母の手がかりを餌に自分を釣ろうとしている。きっと半分は本心から、半分は打算からだろう。それに必要とされることは嬉しいが、リョカからすると、自分がそこまでヘンリーに求められる理由がわからない。
「僕にも手がかりがあるし、自分の力でやれるところまでやってみるよ」
「そうか。だが、もし俺の力が必要なら……」
「ほらヘンリー、マリアが待っているよ。急ごう!」
 リョカはヘンリーの言葉を遮り、かつての住居へと走った。ヘンリーはそれに続き、その少し後から、舌打ちと足音が続いた。

**――**

「マリア?」
 アパートの一室に戻ったリョカだが、そこに人の気配は無い。パン屋の仕事かと考えたが、今日は例の投票のせいでどこもお休みだ。露店がいくつかあったが、そのどこにもマリアの姿は見受けられなかった。
「リョカ。マリアは一体……」
 探すというか、隠れるほどの場所の無い部屋で、二人は顔を見合わせる。
「まさか、誘拐された?」
「ありえないわね……。彼女にそんな価値は無いわ……」
 光と共に現れるエマにリョカは視線を逸らす。ヘンリーは彼女を睨むが、誘拐されるぐらいなら、その価値が無くとも無事なほうが良い。
「おい、なんとかならんのか?」
「無理よ。人を探す魔法なんてしらないもの」
 お手上げな様子の彼女も意外らしく、きょろきょろと部屋を伺う。
「ねえ、そういえば剣は?」
「剣? ああ、そうだ! 父さんの残した剣!」
 リョカはサンタローズの洞窟で見つけた父の剣を思い出す。
 タンスには珍しく鍵が掛かっており、リョカはアガムでそれを開く。そこにはしっかりとあの不思議な剣があった。
「良かった、あった……」
 ほっと一息つくリョカ。その剣先の示す場所には封筒があり、月日が経っているか、黄ばみが見えた。
「これ……」
 リョカはそれを手に取り、一瞬迷ったが、二人に促されて開ける。


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