SSC 事件編-3
2 ―パタン。
犯人達は現金や他の客に気を取られているのだろうか…気付かれた様子はない。
幸いにも店内は広く、男達がいたレジからではトイレは死角に入る位置にあり、トイレに隠れているのはバレていない。(たぶん)
「か…かおり〜、私達殺されちゃうのかなぁ…」
こんなことは他人事だと思っていた私は震える手で香織にしがみつき、自然と涙が流れてきた。
「だ、大丈夫だよ…犯人達だって、きっとお金が目当てなんだから…私たちに危害は…」
―パァン!パァァン!パァァン!
その音は香織の言葉を…遮るようにドアの向こう側から何度も何度も響いてきた。
2008年1年20日AM??:??
あれから何分、あるいは何時間たったのか…
あるいは時間が止まってしまったのかも知れない。
香織の目にも涙が溢れている。
とっさに耳を塞ぎトイレの中でしゃがんでいた私達は、ゆっくり手を降ろす。
何も聞こえない…
シン…とした狭い空間の中でさらに私の中で恐怖感が溢れ、外の様子が気になった私はソッと外の様子を見るため、ゆっくりとドアノブを回した。
(…どう?)
今度は私にしがみついた香織が小声で聞く。
(よく、見えない…)
外を警戒しながら2cm弱までドアを開けたが外の様子はわからない。
意を決した私は、外に出てみようと震えた手でドアをさらに開けようとした。
その瞬間、ドアは他の力により勢いよく開けられた。
「ひゃっ…!」
見つかった…と思った私は死を予感した。
『…怪我は無いか?』
殺されると思った私達は、意外な言葉に状況が理解できなかった。
反射的につむった目を開き前を見ると、学生服を来た童顔の男の子が立っていた。
店内にいた客だろうか…
ううん、こんな人はいなかったハズ…。
私は恐る恐る聞いてみた。
「…きみ、誰なの?ヘルメットの人達は?」
すると男の子は溜め息と共に私に背を向け、何かを口にあてて話し出した。
『午前9:52…生存者3名、死亡者六名を確認…』
まったく話が見えない…
「そら!あ、アレ!」香織が突然叫んだ。
香織が指をさした先を見ると、見たこともない大量の血が飛び散っていた。
見てはいけない…と誰かが言った様に聞こえた気がしたけど、私は血の先を目で追ってしまった。
人が死んでいる…
黒目が無い…
頭から血が…
赤い…
全てが頭の中に流れ込み…私は意識を失った。
最後に悲鳴をあげたのを覚えている…
事件編・完