夢幻の杜-8
「はっ…あぁ、カラン…」
「くぅ…っ!アクアの中、きつい…よ」
――グチュッ
「んぁ!あぁ、全部入っ…たぁ…」
下腹部が、カランの熱でいっぱいになる。
カランが、私の内にいる。
「動くよ…」
グプ――グチュ……
卑猥な水音を辺りにまき散らしながら、カランがゆっくりと動き始めた。
やがて、それは徐々に加速し…初めは痛みしか感じなかったそれが、いつしか甘いしびれに変わる。
「はぁ、はぁ…アクア、すごい。中が…締めつけられ…うぁ!」
「あぁ…ん、んぅ!カラ…ン、き、気持ちいいの!」
どうしょう。
腰が動いて止まらない。
カランが突き上げる奥からも、潤みが溢れて零れてきてるのがわかる。
こ、このままだったら私…また…!
「はぁ、はぁ…あぁ、カラン。わ、私…ダメ、イキ…そう、あぁん!」
「あぁ…アクア、僕も…もう…!」
「う…ん、カラン!きて…内に、出してぇ…はぁ、あぁん!」
「くぅ…!あぁ、ぁ、アクア…すごい、きつ…い!あぁ、イ、イクよ!」
「…あぁ、い、いやぁぁ!んぁ!ダメ…!イ、イクゥ!ああぁぁぁー!!」
「うぁ…!で、出る!!」―――ドピュ…ッ
「んああぁぁーっ!!」
熱い迸りを全力で受け止めながら、意識を手放す間際に聞いた…カランの最後の声。
「アクア…また、逢おう。僕は、必ず君を見つけ出すから」
次に私が目を覚ましたのは、見慣れた自室のベッドの上だった。
どうやら、丸一昼夜眠り続けていたらしく、号泣するお母様と、渋い顔で眉間にシワを寄せているお父様がそこにいた。
「…お前には、呆れて物が言えんわ。…そもそも、この婚姻は、先方の亡くなった母君が強く希望しておったのだが…嫁ぐ日まで毎日階段からダイブされたらたまったもんじゃないわ。儂からお断りしておく!」
――あぁ、そうか結婚の話だったんだっけ…。
「…待って、お父様!」
振り返った父に向かって、ゆっくりと微笑む。
「私、お嫁にいきます」
『モンキープリンセス嫁にいく』
…新聞の一面に見出しが踊ったあの日から早2ヶ月。
私は、隣国ナットモンドの王子の元に嫁ぐため、生まれ育った故郷を離れ、乳母のロータスと2人、馬車に揺られていた。
「でも、姫様。何故に、急に結婚をお決めに?」
「う〜ん。…恋も知らないうちに結婚だなんて、考えられなかったの。でもね、恋…したんだ。一生に、一度きりの。だから、もういいと思えたの」
不思議顔したロータスを横目に、私は小さく笑う。
…ねぇ、カラン。
『また逢おう』と言ってくれたあなたの言葉。
叶わない約束だってわかっているけど、この胸に秘めているのは許されるよね?
誰にも話すつもりはない、大切な――愛しい面影。
「…そういえば、姫様。先日、旦那様になられる王子様が目を覚まされたようにございますよ。良かったですねぇ!」
「あぁ、そうなの。…幸せになれるかしらね、私」
「当たり前です!」
「ねぇ、ロータス。その王子様の名はなんと?」
「えぇと、確か…『シェリルカラン様』かと」
「――シェリル…カラン…様?」
今、開かれる運命の扉。
その向こうにいるのは…。
終