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愛しのお菊ちゃん
【ホラー 官能小説】

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愛しのお菊ちゃん15-6

「じゃあさ…明日、学校の帰りに近くのお寺なんだけど…どう?」
さっきの行為もこれもあくまでも成仏させる為のお誘い。

「う…うん」
コクリと頷く貞ちゃん。
こうなってくると怨霊の影は微塵も感じられない。
ただの可愛い幽霊さんだ。

「それじゃ…」

「えっ!?」

僕は貞ちゃんの手を取ると小さな小指に自分の小指を絡ませる。

「えぇ…あの…」
貞ちゃん…ドキドキしてみたい。

「約束の指きり」
そんな貞ちゃんに僕はニッコリと微笑みかけた。


次の日…。
愛善院に向けてチャリを走らす僕。
貞ちゃん…ちゃんと着いて来てるかなぁ。
なんて考えてると…。

『はい…しっかりと…』
ドコからともなく貞ちゃんの声。
さすがは幽霊さんだ。

そして愛善院についた僕
お寺に続く山道の下でチャリを止めてると。

ボワァっと貞ちゃんが姿を現したけど…。

「わっ!貞ちゃん!外でもスケスケなの!」
いつも貞ちゃんの格好とは言え…外でのスケスケネグリジェに度肝を抜かれちゃう僕。

貞ちゃんはポカーンと『なにが?』って顔してる。

そんな表情も出来るんだね…貞ちゃん。
「さぁ行こうか!」
そんな貞ちゃんとハイキング気分で山道を上り始める僕。

けどお寺が近づくにつれて…貞ちゃんの表情が少しづつ険しくなってゆく。

「だ…大丈夫?貞ちゃん」
少し心配になっちゃう。

蒼白な顔の貞ちゃんが黙って頷いてる。

急いだ方がいいかな?
僕は貞ちゃんの手をしっかり握ると山道を急ぎ登って行った。

本堂まで来ると鵬蓮さんが出迎えてくれてたけど…。

鵬蓮さんの姿を見た貞ちゃん。
コウベを前にガクッと垂れるとバサッと前に垂れ落ちた前髪の隙間から…。
出た!怨みと憎しみに満ちた怨霊の視線だ。

「貞ちゃん!大丈夫だよ!僕がついてるから!」
貞ちゃんの背中を抱くようにして宥める僕。

僕の方を振り向く貞ちゃん。
途端にその瞳から邪気が抜けてく。

「確かに凄い力ね」
僕を見て薄らと笑う鵬蓮さん。
貞ちゃんの反応は予想していたのか。
動揺している様子は微塵もない。

ただ可哀想なのは貞ちゃんだ。
僕の前での貞ちゃんと怨霊としての貞代が葛藤しているのが…。
ハァ…ハァと苦しそう。


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