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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-17

「ふっ――」

「ふっ、じゃねえよ?おまえ、結構エゲツねえのなっ?そんなに喰いたきゃ、あとで買えやいいだろうが!人様に迷惑かけんなよ!」



満足気に口角を吊るノッポへと私は、とりあえず突っ込んでおいた。

これは、至極正当性のある反論であると、自信があった。



「べつに、タコせんのことは関係ない」

「関係ありまくりだろ!おまえ、いま、タコせん、って略したからな、無意識のうちに!友達気分かっ?」

「………………なるほど。食べ物の恨みは往々にして深いね」

「逆恨みにもほどがある!」



そんなことを言い合いながらも、中津宮へ、そして、展望台へと進む私ら一行。

金のない学生の身だ、エスカーを使わずに徒歩である。(いや、まあ、私はお嬢様ってんで、な?けど、あるだろ?)

入道雲が遠くに見える夏まっさかり――額からは汗がダラッダラと流れ落ちた。

ようやく、といった様子で展望電波塔の真下へと到着。

広場で大道芸人が何かしていたが看過し、サムエル・コッキング苑に入場、見学もそこそこで私たちは展望台へ向かった。

各自三百円を払い、エレベーターで展望デッキへ。

螺旋階段の中心を昇りゆく無機質な箱が最上で止まり、扉を開いた。



「わぁ……」



林田が(あまりに似つかわしくない)可愛らしい歓声を小さく漏らした。

そこは、グルリと全周がガラス張りになった、俗にいうならば360度のパノラマだ。

一緒に昇ってきた観光客らに合わせて、ゆっくりと一周、展望台をとりあえず回ってみる。

炎天下のためか、視界はすこぶることはなかったが、それでも横浜のランドマークタワーや富士山が小さく拝むことができた。

エレベーターの出入り口まで戻ってきて、解散。自由行動となった。

私は、

「柚子!佐倉さんも!ホラ、あれは大島かしら?こう、うっすらと――」

などと、半歩引いちゃうくらいのテンションを見せる林田に腕を取られ、岐島を置いてけぼりに連行されてしまった。

んま、林田もそうそう岐島には声がかけにくいってのもあるのかもしれない。

ただ、林田が岐島を苦手としているように私も私で林田が苦手なのだ。ヤツの目がタワーのふもとに向けられた一瞬の隙をついて逃走を図った。




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