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やさぐれ娘は屋上で笑う
【学園物 恋愛小説】

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#03  研修旅行――二日目-11

ホテル『星月夜』の別館、二階にある食堂。

縦長のテーブルの並べられた、学食や一世代前のフードコートを思わせる造りのそこで、私、岐島、林田、相原のB組六班は一緒に朝食をとっていた。

メニューだけはホテルらしく、加工肉類に小さなオムレツ、サラダ、マーガリン、ジャム、そしてテーブルロールとフランスパンにオレンジジュースというモノだ。

やはり、私たち六班――というか、私と岐島は忌避の対象らしく、周囲には他の生徒はいない。

そんな中で私は向かいに座る岐島へ食ってかかった。

補足ながら、私の右隣に林田が、その正面――岐島の隣に相原が腰を下ろしている。



「被害者たる俺がきみをかばわなければならない理由がストックホルム・シンドローム以外には思いつかないんだがね」

「なんだよ、それは?」

「ああ、アレですよね?たしか、加害者と被害者の間に信頼関係が生まれるとなんとかってやつだったと……」



すると林田が口を開いた。

はいはい、ご聡明なことで。まあ、まだ、岐島を直視できない当たり、ヤツよりかは可愛げがあるんだろうけどな。

――そこで岐島は頷いて肯定すると、私へと視線をもどしてきた。



「そして、あれは痛かった。ところで、俺は個人的にカリカリに炙られたベーコンの存在に魅力を感じるという情報をきみに伝えたうえで、賠償責任を追及したいんだが?」

「相変わらず、面の皮厚いよな!――やらねえよ!フォーク引っ込めやがれ、食欲魔人!」

「…………はぁ」



至極、無念そうな嘆息を漏らす岐島。

どんだけ、ベーコン好きなんだよ?

そんなことを思っていると、岐島の横に座ったデカ女――相原が言う。



「あ、の……よかったら、私の……」

「ん?」

「その……ベーコン。私、朝はあまり食べない……から……」



相原が、自分の皿に乗ったベーコンを岐島の皿に移した。




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