性奴会長藤本玲子10-1
三日経った日の放課後。
「貴女に勉強を見てもらいたい生徒がいるんだけど」
ホームルームを終えて職員室に戻って来た村上絵美子に妖しい笑みを浮かべて歩み寄る小笠原裕子。
その笑みを訝しげながらも…。
「は…はぁ…」
ついつい話に乗ってゆく村上絵美子。
彼女もまた小笠原裕子が全身から放つ淫靡な女王の雰囲気に抗えないひとりであった。
学校帰り…。
小笠原裕子に連れられるまま彼女のマンションに着いてきた村上絵美子。
「あ…あの…先生の家で勉強するんですか」
その地味なイデタチに見合ったオドオドとした態度で小笠原裕子に尋ねる。
「そうよ…他校の生徒を学校に入れる訳にはいかないでしょう」
一方の小笠原裕子はその格好に見合う堂々とした感じで言って放つ。
「わ…判りました」
勿論、反論はおろか余計な質問すら出来ない村上絵美子。
小笠原裕子の事だ。
きっとまともな勉強ではない。
そうは思いながらもドキドキと胸の鼓動を早めるだけで…黙って従うしか出来なかった。
小笠原裕子のマンションに案内された村上絵美子。
自分の住むワンルームマンションとの違いにその小さな瞳を見開かざる得ない。
間取りはどんなに少なく見積っても4LDK、家賃で言ったら村上絵美子のワンルームマンションの三倍は下らないであろう豪華さであった。
また室内の調度品も…。
そう言った物に疎い村上絵美子でも高価な物と判る物ばかりであった。
「す…素敵なお部屋ですね」
そんな部屋に通され、どうにも気後れしてしまう村上絵美子。
そう言うのがやっとだ。
「大した事ないわ」
鼻にかかった嫌味たらしい小笠原裕子の声。
実際のところ…嫌味を言う気は満々の小笠原裕子であった。
そして八畳ほどの洋間に案内された村上絵美子。
その洋間の中には…。
テーブルとソファしかなない。
そのテーブルの上に教科書を開き、ソファに座った孝治たち。
既に村上絵美子の事を待っていたようだ。
「よろしくお願いします…先生」
ニタッと笑う孝治。
大樹たち三人は大きな音を立てて生唾を飲み込んでいる。
ただ勉強を見るだけとは思えない、明らかに異様な雰囲気であったが。
村上絵美子はもう断る術を持っていない。
そして…。
「よ…よろしくね」
ぎこちない愛想笑いを浮かべるのがやっとであった。
しかし…。
村上絵美子のどんよりとした不安を他所に勉強は普通の勉強としてスタートした。